【挑戦!i-Construction④】地球のどこにいるか測る! 工事基準点と座標・測位

いざ、現場に情報化施工を導入する際、一番必要なことは「いま、重機が現場のどこにいるか」を把握することだ。丁張や水糸も、工事完成後の姿を指示するためにある。なんの目標もない場所では、オペレーターもどこを掘ったり盛ったりするのか分からない。
 工事を受注して着工するとき、現場は現況を把握し「工事基準点」を設定することから始まる。現場の近くに設置されている公共座標を原点にして、現場外周に工事用基準点を設置し、これを目印にして構造物や土工の位置を決めていく。水平方向だけでなく標高についても工事水準点を使って関連付けていく。
 現場を測量するということは、地球上のどこを工事するのか明確にすることといってもいい。情報化施工は、重機の排土板やバケットの刃先が、3次元座標で地球上のどこにあるかを意識する技術でもある。
 アイ・コンストラクションで脚光を浴びてきたドローン(UAV)による測量も、上空から写真を撮り、写真測量によって現場の3次元座標を測る技術だ。




◇TSで重機を測位

 それでは、情報化施工に対応したICTブルやバックホウは、丁張もなしで、どのようにして自機の位置を把握しているのだろうか。方法は大きく分けて2通りある。1つはトータルステーション(TS)を使った測位で、もう1つは衛星を使った測位だ。
 TSを使った測位では、工事基準点などをもとに固定設置したTSが、重機に取り付けたプリズムの位置をリアルタイムで計測している。TSは自動追尾といって、常にプリズムをとらえ続け、重機に無線で座標を送信する。TSの位置が分かっているので、重機の相対的な座標を計測すれば、現場のどこに重機があるのかが計算で分かる。
 では、重機の位置は分かったが、施工する排土板やバケットの位置は、どうやって割り出すのか。
 重機に搭載したプリズムとブルドーザーの排土板の位置関係は、排土板とプリズムの相対位置から割り出す。通常、プリズムは排土板から伸ばしたポールに取り付けてあるので、排土板の刃先とプリズムの位置関係を測っておく。さらにシリンダーの角度をセンサーで測れば、排土板の姿勢を把握できる。
 バックホウの場合のバケット位置は、ブームとアーム、バケットのヒンジ間距離をあらかじめ測り、それぞれの角度をセンサーで常に計測することで、刃先の位置が計算できる。

TSとGNSS測位の違い


◇衛星を使った測位

 TSの代わりに、GPSやグロナスといった全地球衛星測位システムを使って重機の位置を把握することもできる。TSは、工事基準点からその位置を決め、相対的に重機の位置を割り出すのに対し、衛星測位では、重機に搭載したGNSSアンテナから直接、地球上の重機の位置を確定する。
 TS測位は、重機1台に対してTSが1台必要だが、衛星測位は、現場に設置する基地局1つで、複数の重機の位置を割り出せる。現場に固定局と呼ばれるアンテナを1台固定し、移動局である重機のアンテナに「補正情報」を送って位置を確定する。

 GNSS測位は、上空の電離層、対流圏の状態や衛星の軌道によって誤差が発生するが、その誤差を、動かない固定局から移動局に伝えて2、3cmの精度を確保する。この方式を「リアルタイムキネマティック(RTK)方式」と呼ぶ。
 最近では、ネットワーク型RTK方式(VRSと呼ばれる仮想基準点方式)というタイプも登場しており、携帯電話やインターネット回線を通じて、RTK補正情報配信会社より補正情報を受け取る方式が普及してきており、RTK方式の活用の幅が広がってきている。
 次回は、日本の電子基準点や衛星測位の原理について解説する。

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