【挑戦!i-Construction⑨】トータルステーションを設置しよう いよいよ測量実習開始!


 これまでの連載で、情報化施工の概論が終了した。今回からは、いよいよフィールドでの実機研修となる。実習の舞台は、茨城県土浦市にある道路会社のテクノセンター。参加各社から約20人が出席した。出席者のうち数人は、トータルステーション(TS)を扱った経験があるが、ほとんどの人は三脚の据え付けも初めてだ。
 情報化施工で重機をコントロールしたり出来形計測する場合、TSを工事基準点に据えることから始まる。工事基準点杭の上に三脚を据え、TSの中心が正確に一致するように合わせる。まず三脚を水平に据え、脚を踏み込んで動かないように固定する。次にTS本体に3つある整準ネジの手前2つを使って、円形気泡管を見ながら左右の水平を取り、奥の1つで前後の水平を調整する。本体の水平がとれたら、整準望遠鏡を使って基準点杭の中心を正確に合わせる。TSにも整準コンペンセーターがついており、精密に水平を合わせることができる。
TS設置のフロー



TSのコンペンセーター

TSの機器高の入力

 次にTSに基準点座標をX、Y、Hでデータ入力し、TSを据え付けた基準点の名前と方向を決めるために、後視点名を指定する。後視点は別の基準点杭に設定し、その杭にミラーを置いて視準することで測量する方向が決まる。以上のプロセスで、TSの設置は完了だ。

◇後方交会設置も可能


 現場では、必ずしも工事基準点にTSを据えられないケースがあるかも知れない。ほかの工程の邪魔になったり、TSと重機との間に障害物がある場合などだ。
 2012年に国が『TSを用いた出来形管理要領』をまとめたとき、後方交会法を使ったTSの設置が許されるようになった。後方交会法とは、既知点である工事基準点を2点以上使って、任意の場所にTSの設置点座標を設定することだ。この場合は、任意の場所にTSを設置して、メニューから「任意点設置」などを選び、基準点を観測していくと設置できる。ただし、精度の面からは工事基準点上への設置がよいと言われている。

設置にあたっての注意点

 また、TSの設置位置を考える場合、以下の点に注意して選定することが重要だ。
 まず、TSと通信する重機の間に作業車両や作業員が通らない視通を確保すること。次に重機に近すぎない位置に設置すること。これは距離が近いと重機の移動速度にTSの自動追尾が追いつかなくなるからだ。遠すぎてもレーザーの反射が悪くなって、プリズムをロストする。太陽光がTSのレンズに直接入るような場所も、追尾するプリズムを見失う原因となる。
 TSを設置する基準点は、施工完了まで変えない方が精度確保につながる。工程計画を勘案しながら、TS設置点に他の施工が入らない場所を選ぶ。また寒冷地では、地盤の凍結や融解などで基準点の変位が起きることもあるので気をつけたい。

◇便利な自動追尾TS

TSのセットアップメニュー

 情報化施工におけるTSは、ICT重機に位置情報を伝える役割を担っているが、ほかにもさまざまな使い方ができる便利なツールだ。基準点や既知点座標の管理データを使って、設置済みの基準杭の位置管理することもできるし、基準杭がなにかの原因でなくなってしまった時、「点の復元」もできる。復元は、プリズムを持って基準点のおおよその位置に移動し復元モードにすると、音や画面で「後ろへ何ミリ、上へ何ミリ」などと指示してくれる。指示どおりに設置すれば元の場所に杭を復元できる。
 ほかにはトラバース測量もできるほか、TSと無線通信するデータコレクターとミラーを持って移動すれば、ワンマン観測も可能だ。モードを移動体観測にすれば、設定した間隔で自動的に3次元座標を取得していくので、現況測量にも力を発揮する。測量データはCSV形式や面データとしてPCに出力もできるので、CADソフトなどに取り込める。高価な機械だが、活用次第でその何倍もの効果を発揮する。

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