【i-Conニュース】今年はi-Construction前進の年! 森昌文国交省技監にインタビュー


 人口減少と高齢化を背景に建設産業にとって最重要課題となっている“担い手の確保・育成"。その難題への対応策として打ち出された建設現場の“生産性革命"。この両者を包含した「働き方改革」の考え方は、建設産業の将来をどう変えていくことになるのか--。国土交通省の森昌文技監は、2017年をi-Construction(アイ・コンストラクション)を本格化させる「前進の年」に位置付ける。



 生産性革命元年として、トップランナー施策の1つ「土工へのICT(情報通信技術)の全面的な活用(ICT土工)」に取り組んできた。建設現場の“生産性革命"を先導する、ICT土工は、各地方整備局の積極的な取り組みによって、年間1000件を超える対応型工事が公告される見通しとなっている。
 「既にその約3割で実際にICT建機などを活用したICT土工が行われているが、この実践の中で改善点が浮かび上がってくるものと認識している。これを糧に17年を前進させる年にしたい」と、その推進に意欲的な姿勢を見せる。
 実際に「生産性の向上が、結果として企業にとっての収益アップにつながらなければ意味がない。裾野が広い建設業にどこまで浸透させていけるか、そこがわれわれに課せられた大きな課題になっている」と話す。

◇地方への普及展開

 視線の先にあるのは、次なるステージに位置付ける地方自治体への水平展開だ。
 「単純に言ってしまえば、国の発注工事では使えるが、都道府県や市町村の工事では使えないということでは産業全体としての効果は薄い。発注の現場を持つ省の立場や責任として長期的な視点でじっくりと浸透させていく必要がある」とみる。
 「若年層の入職者が減少している現状あるいはそれ以前に高齢化による就業人口の減少に向き合う中で、生産性の向上はいま取り組まなくてはならない必須の課題」と強調。その意味で言えば、将来的なi-Conの一般化へ、「自治体への展開はスピードだけを求めるような“強制"ではなく、できる限りそれぞれの発注者を巻き込んだ形での普及が図られる必要がある」とあくまで“自然体"での普及を目指す。

◇働き方改革を推進

 i-Conの推進によって、10年後の25年まで、建設現場の生産性を飛躍的に高めていく方針を打ち出したのも「建設産業にとって最重要課題となっている中長期的な担い手の減少に対応するための環境整備ということになる」
 ICTの導入によって 技能労働者の減少を補完する「省人化」と、現場作業の高度化・効率化による「工事日数の短縮(休日の拡大)」の両輪が、2割という目標値の達成をもたらす。
 「現場の生産性を高める、すなわち従来よりも少ない人数、少ない工事日数で同じ工事量をこなす、1人当たりの 仕事量(生産性)の向上によって 休日を増やす。まさに生産性の向上による『働き方改革』によって担い手の確保に取り組む施策だと言える。それが最終的に産業全体の収益構造をアップさせることにつながっていかなくてはならない」と見据える。

◇企業経営にも貢献

 とはいえ、建設産業にとってのIT化の現状や、i-Conの推進は「まだまだ走り出すという段階ではない。一歩ずつ着実に進めていくことが重要になる」と指摘。「受発注者の双方にとってメリットがあるということをきちんと見せていく必要がある」とみる。
 アイデアとして「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の3次元モデルを使えば、出来形の把握が格段に早くなる。現場の出来上がり数量が日々変わってくることを可視化することができれば、中間の完成検査を抜きにして、中間払いをすることができるようになるかもしれない」
 「これまで(受発注者双方が)お互いの手間だからと遠慮していた部分が解消されれば、受注者である建設企業の経営にとっても大きなメリットを生み出せる可能性もある」と見通す。

◇決意と信念貫く

 「生産性の向上や最終的な収益アップといった将来的な効果を追求していくだけでなく、人間をサポートするというIT化の本来の意味合いを担当者や現場レベルでの身近な効果で実感できることが、普及促進への近道になる」
 「実際に生産性革命元年という初年度にICT土工にチャレンジしてきた建設企業の皆さんに、取り組んだことで明らかになってきた一般的な導入メリット以上に、どういったことに応用できるのか、どうすれば受発注者の双方にとって一層のメリットを生み出していけるのか、どんどん提案を寄せてきてほしい」とも。
 「その提案が17年度以降のi-Conの推進にとって大きな糧になる」と話す、その姿に本格化に向けた「進化の年」と位置付ける新年への決意と、推進役として着実に生産性革命を成し遂げていくという揺るぎない信念が透けて見える。

◇コラム 直轄工事における下期の発注方針

 i-Constructionの推進(ICT土工の拡大)は、16年度の第2次補正予算の執行を契機に打ち出した「下期における発注行政に関する取り組み」の柱の1つ。森昌文技監はこの下期の発注方針に込める思いを「まさに受発注者双方の“働き方改革"を加速させるという意味がある」と話す。
 特に補正予算編成を進めている際にあった「公共投資の“バラマキ"との批判や内外から指摘されていた人手不足による執行への不安を打ち消す強いメッセージでもあった」という。
 実際に「i-Conの推進」「週休2日の推進、労働生産性の向上」「現場の技術力の活用」という3点を軸に「発注の仕組みの中でアベノミクス効果を全国に浸透させていくことができている」と十分な手応えも感じている。
 自身も「力を入れてきた」という週休2日を実現する適正な工期の設定は、業界側から指摘されてきた「積算工程と実施工程が合っていないために休日返上で工程を短縮せざるを得ない」といった現場実態との乖離(かいり)に対する答えの1つ。
 十分な工期の確保として、歩掛かり調査で設定した日当たり施工量をもとに各工種に必要な日数を自動的に算出できる、発注者側の支援ツール「工期設定支援システム」を試行的に導入することで「受注者を困らせることのない標準的な工期をつくる仕組みができた」と語る。
 この工期設定支援システムと過去の工事の工期を統計的に分析することで導き出した標準工期(算定式)とのセットで最適な工期設定につなげる一方、工事着手の準備に必要となる期間(準備期間)や後片付けに要する標準期間も実態調査に基づいて改善。河川工事や河川・道路構造物工事、道路改良工事、トンネル工事といった工種ごとに最低限の“必要日数"を設定することで、トータルとして建設現場の“働き方改革"に資する最適な工期設定を目指す。

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