【トップインタビュー】i-Conで業界を〝おもしろく〟したい 平野聡トプコン社長


 眼科医療、IT農業、ICT自動化施工・インフラ整備を「医(アイケア)」「食(農業)」「住(インフラ)」として経営の3本柱に据えるトプコン。i-Construction(アイ・コンストラクション)分野でも必要不可欠な技術を送り出している。今後のi-Conに対する戦略と思いを平野聡社長・CEOに聞いた。

 トプコンのICT(情報通信技術)製品の特徴は、すべての建機メーカーに後付けできることだ。平野社長は「当社はコマツやジョンディアにOEM供給している。彼らは自社でカスタマイズしているのが特徴だ。市場を見ると、欧米でもICT搭載率は1割程度、日本はまだ1%に届いていない。加えて建機の耐用年数は8年程度で、新車以外の後付けのシステムを付けられる期待台数が市場にある」と分析している。
 ICT機器価格については、「実際高いと感じる人もいるが、製品アフターサービスや在庫、取り付けの人件費などを考えると現状になってしまう。OEM台数などが増加し数千単位で供給できれば価格は下げられるはずだ」と話す。




◇3Dデータの活用が重要

 同社は3年前に福島県に白河トレーニングセンタ、16年には神戸市に神戸トレーニングセンタを整備してi-Conの全プロセスを対象にした訓練が可能になった。さらに昨年12月には北九州市にもプレオープンした。
 全国へのトレーニングセンタ整備については「i-Con普及のためには、データをスムーズに管理運営できるかがかぎだ。3次元(3D)データを扱える人材の育成のために施設をオープンした。今後もっと増やしていく。現在は、測量と土工が完全に分断しており、どちらも歩み寄っていない。そんな中で3Dデータを使って杭と丁張りをなくさなくてはならない。今後5-10年は続くであろう過渡期に必要なのは3Dデータの扱いだ。発注者も含めて、測量、施工が3Dデータを活用することが必要なことだ」という。

◇やる気ある若い人を招こう

 日本では建設産業界の就業者数が減少しており、高年齢者の比率も高い。農業でも同じことが起きている。
 解決には、建設や農業の生産性を上げるだけでなく「やる気」のある人を業界に招き入れることが必要だ。新しい技術は、若い人のやる気を上げる効果があるという。

 「わたしは入社時に機械設計をしていた。当時はドラフターで2次元図面を作成し、頭の中で3次元にモデリングして旋盤工に伝えていた。このとき感じたのは、図面は作れても、加工が不可能な設計があることだった。加工を知っているから設計できる。i-Conの測量から施工への流れも、この例以上に現場のノウハウが必要だと思う。今後、土木だけでも測量だけでもない、両方を理解する新たなカテゴリーのエンジニアが誕生するだろう」

 i-Conは、現場を工場のような一貫した流れにするものだ。建設生産プロセスの構造改革が生まれ、生産性向上と品質の安定を生む。一方で優れた技能者や、プロセス全体を見る人間は必要とされ続ける。
 「自分の仕事の範囲から飛び出し、自らを変える努力をする人や組織が増えれば明るい業界になる。仕事を“おもしろく"考えられるようにする仕組みで、魅力ある産業に変えることが必要だ」

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