【挑戦! i-Construction35】基礎杭の中心座標をTSで管理 同心円目盛「レチクル」で円柱計測

ノンプリズムのトータルステーション(TS)は、レーザーで距離と角度を計測する装置だが、その特性上、構造物の角や避雷針のような細い物の先端、球体や円柱の中心を測ることが苦手な機械でもある。
 クモノスコーポレーション(本社・大阪府箕面市、中庭和秀社長)が開発した「Baum Station(バームステーション)」は、TSに同心円状の目盛「レチクル(焦点鏡)」を付けることで、これらの課題を解決した製品だ。



◇レチクルの原理

 バームレチクルを取り付けたTSをのぞくと、12の同心円が計測対象に現れる。例えばこれで円柱を視準し、同心円が円柱に均等に重なるようにすると、その中心が柱の中心座標となる仕組みだ。
 バームレチクルには、0.226mmの幅で同心円が刻まれている。この間隔は、1m先で1mmとなる「1mmラジアン」で計算されている。対象物長さ(D)と距離(L)が1対1000となる。

 この原理に従うと、TSから10mの距離にある円柱を視準して同心円の目盛が4であれば、円柱の半径は10m×4×1÷1000で、0.04mと計算できる。半径がわかれば、円柱の中心軸までの距離は、TSから円柱までの距離+半径で中心軸座標が計測可能になる。

 また同心円の目盛と距離の関係から、計測位置を上下左右にオフセットして計測部分の座標を計算で求められるので、視準できてもレーザーが当てられない尖った部分、構造物の角や端、球でも座標計測ができるようになる。オフセット計算した座標は、TSのオンボード画面に表示され、SIMAやTEXT形式で出力もできる。



◇杭の打設に応用

 同社ではバームレチクル技術を応用して、基礎杭の精度管理をする技術も開発した。
 通常、建築工事などで基礎杭を施工する際、杭位置の精度管理に逃げ心杭やトランシットを使うことが多い。設計上の杭打ち座標から設置した逃げ心杭を基準にして平面位置を管理しながら、2台のトランシットで杭の傾斜を確認する。

 この管理方法だと、回転する杭に棒を当てる必要があったり、傾斜確認に多くの人手が必要になるなどの課題がある。
 そこで円柱の中心を計測できる機能を使って、TSから杭打ち機のオペレーターのPDA端末に杭位置の現況を数値で伝え、設計どおりの杭位置の修正値を伝える「杭打設ナビゲーションシステム」を開発した。

 このシステムには、観測日時、杭深度、杭芯のXYZ座標、計画面での位置座標(偏芯)、計画位置と実測位置の誤差、杭の傾きと誤差、平面回転量、杭頭座標が表示される。
 これらの情報はCSV形式で保存ができるので、現場の施工履歴を残せることも特徴だ。

 このシステムを使った現場の例では、1万本以上の杭を打設して誤差は3cm以内に収まったという。中庭社長は「杭の施工精度が上がると、フーチングなしの施工も可能になる」と話す。
 杭の打設精度が高ければ、建物の柱のためのフーチングコンクリートが不要になり、杭に直接柱を建て込む「ノンフーチング工法」を適用した現場もあるという。

 中庭社長は「バームステーションの現場適用数はすでに200件を超えている。世界には杭打ち機が20万台ある。海外も含めて積極的に展開したい」と話している。

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