【北陸のICT活用③】外注と内製化のバランス重要 データ間違い、責任の所在が問題

輪島道路でICT(情報通信技術)活用対象となっている、のと里山空港インターチェンジ改良と長沢道路その5の両工事から掘削土砂約4万4400m3を受け入れ、路体盛土工を施工しているのが、H28能越道長沢道路その4工事だ。施工する豊蔵組(金沢市)の吉田圭介現場代理人にとって本格的なICTは初めてだが、「i-Construction(アイ・コンストラクション)は加速度的に進んでおり、早晩普及する。いまのうちから差別化を図っておく必要がある」と、先を見据えて独自のICT活用方法を意識しながら現場で作業に当たっている。



・内製化で流れを把握

 レンタル会社のヨシカワ(金沢市)に発注している起工測量や建機調達を除けば、点群データ処理、設計データ作成、出来形管理などほとんどのICT活用は、建設システムのソフトを利用して自社で行った。「内製化することでICT化の作業の一連の流れを把握でき、課題や次への提案を見つけることができる」のが最大の理由だ。

 さらに「設計データの作成では、外注すると施工者の意図や現場の実情が反映されにくく、手戻りも出てくる。データが間違っていた場合、その責任の所在が分かりにくいということにもつながる」と指摘する。i-Conが急速に進められたこともあって、こうした作業の外注先は現在「手一杯」で、「外注と内製化を効率よく分けて対応する必要がある」とも。

・責任は誰が負う?

 北陸地方整備局信濃川下流河川事務所がICT活用工事として今年度発注した山島新田地区河道掘削工事5カ工区で、施工者から起工測量や設計データ作成を外注された建設コンサルタントのトップライズ(新潟市)の大滝充司社長も「今後、建設生産プロセスの3次元化が進めば、やり取りされるデータの責任の所在という問題が浮上してくることは確実だ」と警鐘を鳴らす。

 同社が受注したのは、山島新田地区河道掘削その3、同その4両工事の起工測量と設計データ作成だ。大滝社長は「測量や設計のデータと現場とのかい離という問題は、3次元化が進めば進むほど施工者の側から見た時に鮮明に表れる」と指摘する。具体的な仮設計画も踏まえた施工プロセスを熟知したデータでないと逆に生産性を阻害することになりかねないという訳だ。

 輪島道路で施工している豊蔵組の吉田代理人は「間違った設計データがチェックされないまま使われるのを防ぐためにも、データ作成は自社で取り組んでみる必要がある」という。同じく宮地組の水谷正年代理人は「ソフトやシステムに不慣れな技術者をサポートしてくれるのは、ICTの専門知識だけでなく施工の現場を十分に理解している業者にお願いしたい」と語る。

 施工者にとって、外部の専門業者に発注してICT活用を進めることは、経費が掛かるものの安心感はある。しかしICTが普及する将来を見据えれば、いまからノウハウを蓄積しておくことも欠かせない。内製化のサポート役をいかに選択するのか、重要性が増してくる。

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