【挑戦! i-Construction39】設計から発注まですべて3次元モデル化! 米国カリフォルニア州運輸局のCIM(シビル・インテグレーテッド・マネジメント) 

国内でi-Construction(アイ・コンストラクション)の動きが活発化し4月から始まる新年度からは、国が「ICT(情報通信技術)舗装」用の積算基準を新設したり、現行の要領案を改定するなどしている。今回の拡大版「挑戦!!アイコンストラクション」では、米国カリフォルニア州の運輸局(California Department of Transportation、CALTRANS、カルトランス)のCIMへの取り組みを中心に、先端のICT土木の仕組みを学ぶ。



 カルトランスは、CIMを日本の概念とは異なる「シビル・インテグレーテッド・マネジメント」として位置づけている。測量、設計、施工、維持管理というサイクルの中で、3次元モデルを完全に中心軸として位置付けるのが特徴だ。従来の2次元管理を3次元にするだけでなく、時間や工程要素を入れた4D、さらにコストなどを含む5Dの運用も行っている。
 発注行政の中で、測量から始まり、土木設計、施工、維持管理のすべてのフェーズに3次元モデルを置き、将来的には州政府全体の活動にCIMを展開する。

◇設計の9割は直営

測量から設計への流れ

 カルトランスは土木設計の90%を直営で設計している。残り10%は、外部コンサルタントなどに委託しているが、成果品はLandXMLなど電子データでの納品をさせている。
 また測量についてもカルトランスに測量部門があり、トータルステーション(TS)、GNSS(全地球測位航法衛星システム)の計測ローバー、レーザースキャナー(LS)を活用して現況測量を行っている。
 現況測量によって作成したファイルは、カルトランスの設計担当者に渡され、また設計済みのファイルも測量側にフィードバックされる。
 カルトランスでは、2つのモービル・マッピング・システム(MMS)も保有しており、点群で現況構造物だけでなく照明、架空線、信号なども撮影している。現在はまだ一部だが、いずれ全州で点群データを活用していくという。

◇3次元データは施工者に

 測量部門が作成した現況地形モデルを受領した設計部門は、オートデスク社、ベントレー・システムズ社、テクラ社の3次元設計ソフトウェアを使って3次元設計を行う。
 設計成果物となる3次元モデルから、平面、縦断、横断図を切り出す。そのデータは、工事を受注した施工者にLandXMLファイルで渡され、施工者は3次元モデルから、建機のマシンコントロール(MC)やマシンガイダンス(MG)用の施工データを作成して情報化施工に生かしている。
 また施工者は、そのモデルを使って工程計画を加えた4Dモデルを作成する場合もあるといい、工事数量算出などにもデータは生かされている。
 カルトランスの設計・エンジニアリング部チーフのジーザス・モラ氏は「3次元で作成した設計データは、設計を確認する場合も直接目で見て整合性を確認できる利点があり、住民説明会資料などでも活用している」と話す。

◇米国での情報化施工


 カルトランスでは、MC、MGを「AMG(オートメイテッド・マシン・ガイダンス)」と総称している。
 36年間、カルトランスでAMGを担当してきたコンストラクション・エンジニアリング部チーフのジム・コーリー氏は「情報化施工は、発注者にとっても大きなメリットがある」と力説する。
 測量段階から3次元データを活用しているため、入札積算時に不確定要素が減り積算精度が向上するほか、工事自体の生産性が30%アップしているという。この数字は、未来投資会議で挙げられている「建設現場の生産性を2025年までに20%向上させることを目指す」という日本政府の方針を上回るものだ。
 さらに発注時のコスト低減、品質向上、工期縮減までも実現するという。
 現場での作業コストも下がり、施工者の生産性が向上する一方で、カルトランスの測量部門の仕事量は増加した。また中小の建設会社では、日本と同様に習熟への時間がかかるということも起きている。
 コーリー氏は、「施工者に対して、AMGの導入を義務化はしていない。施工者に選択は任せている。入札時にもAMGを使わない会社を排除していない」というが、施工者は競合他社との差別化を図るためにも導入する企業が多いという。

◇変革へのプロセス

ワークフローの変革で起こる混沌状況

 カルトランスでは、橋梁や構造物の設計に、オートデスク社、ベントレー・システムズ社、テクラ社のコラボレーションスタイルのワークフローを取り入れている。
 このワークフローは、プロジェクトサーバーで別部署と情報を共有し、可視化や図面作成、数量算出、帳票作成、構造設計を行っている。効率化、品質向上、他部門との協業を目指している。いわゆるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の考え方だ。
 こうした作業フローの変革は、簡単には進まないという。フローの導入当初は、内部のスタッフからのいろいろな抵抗にあったり、混沌とした状態になる。その後意識改革が進んでいき、意識が統合されて新しい現状へと変わっていく。
 BIMの導入役となっているダグラス・ダンラド氏(構造デザインブランチチーフ)は「現在のカルトランスは、まだまだ変革途中にいる。現状を抜け出すにはあと5年程度はかかる」と見ている。
 カルトランスの取り組みは、日本のCIMやi-Constructionよりも何歩か先を歩いていると感じたが、その道のりは平坦ではなかったようだ。
 先行する組織が取り組んできた課題を、1つずつクリアすることが日本にも求められている。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

0 コメント:

コメントを投稿