【挑戦! I-CONSTRUCTION53】いよいよ3機目!準天頂衛星 現場の施工性が上がる

8月11日に打ち上げ予定が迫った準天頂衛星「みちびき3号機」。6月に打ち上げが成功したみちびき2号機に引き続き、日本独自の測位衛星が順調に軌道に乗せられていく。これを含め今年度はあと2機の打ち上げが予定されていて、年度内に念願の4機体制が整う見込みだ。このみちびきが、どのようにi-Constructionにかかわるのかを見てみたい。
(衛星画像の出典:qzss.go.jp)

◇衛星と誤差

 一般的なカーナビなどでは、数mの誤差があってもジャイロや道路地図などの情報と照らし合わせて位置を表示するため利用上問題はないが、GPSやみちびきなどの測位衛星を使って建機の刃先などの座標を把握するためには、数cm単位という座標精度が必要だ。
 ところが衛星からの信号には、衛星の時計(クロック)、軌道、電離層、対流圏、マルチパス(ビルなどに跳ね返った信号も拾ってしまうこと)といったさまざまな誤差が含まれている。こうした誤差を取り除かないと数cmオーダーの測位精度は出せない。
 そこで、現在GNSSを利用した情報化施工に使われる測位方式は、RTK方式とネットワークRTK方式のVRS、FKPといった方式を使っている。
VRS方式のイメージ

◇RTKとVRS方式

 RTK方式は、現場に基地局となるアンテナ・受信機を1台、建機に搭載する移動局としてアンテナ・受信機を1台の2台利用する。
 RTK方式では、動かない基地局を既に座標が分かっている工事基準点などに固定して、電離層や対流圏が原因で発生する伝送遅延誤差や衛星軌道誤差、衛星と受信機の時計の誤差を相殺して移動局の座標を数cm以内に抑える。
 一方、VRS方式は、国土地理院が全国に1300点整備している電子基準点で現場を囲み、現場近くに仮想的に基準局を設定して衛星の補正情報を作り、インターネット経由で移動局に送り、RTK方式の測位を確立する。
 アンテナ・受信機の価格は数百万円程度するので、VRS方式ではその数を減らして安価にRTK方式の測位ができる。補正情報は、ジェノバなどの補正情報配信会社と契約する。

◇みちびき4機体制
4機体制の衛星配置例(左が4機体制になった場合)
現場でGNSS測位を利用する時は、最低でも5機の衛星を常に受信できる環境が必要だ。測位衛星には、米国のGPS、ロシアのグロナス、中国の北斗(ベイドゥ)、欧州のガリレオなどがあるが、日本の緯度に合わせて打ち上げられたものではないので、5機以上を常に受信できるとは限らない。また都市部ではビルなどが多く、天頂付近に衛星が見えないと信号が受信できない。
 「みちびき」は、特殊な軌道を回らせることで、常に天頂付近に衛星が1機は配置されている状況を作り出す。常に自分の位置から衛星が止まって見える静止軌道を南北方向に傾けた「8の字軌道」で、日本からオーストラリアの上空を移動し、日本上空には約13時間留まっている。
 既に上がっている1、2号機と、今後打ち上げられる4号機は8の字軌道で、今回打ち上げの3号機は静止軌道に乗せられる。静止軌道1機と8の字軌道の3機の合計4機体制で、日本独自の測位システムはとりあえず完成する。政府は今後、2023年度をめどに7機体制の運用を始めるとしている。
 みちびきが18年度から運用開始すれば、i-Conの現場でも安定して衛星の信号を受けることができるようになり、施工性の向上が大いに期待できる。(つづく)

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