【挑戦! I-CONSTRUCTION54】準天頂衛星みちびきの持つもう1つの機能 測位補強サービス「CLAS」

前回、来年度からの準天頂衛星4機体制が、i-Constructionの現場に施工性向上をもたらすことを見てきたが、みちびきにはもう1つ大きな機能が実装されている。それが「センチメーター級測位補強サービス」通称CLAS(シーラス)である。RTK方式で必要だった基地局や、VRS方式で配信されている衛星補正情報に相当するものが、みちびき自体から放送されるという機能だ。(衛星画像出典:qzss.go.jp

◇補正情報を出すL6信号

 みちびきが出す信号はL1、L2、L5という米国GPSに準拠した信号を送り出す。これは、GPSと合わせて使うことを想定しているからだ。これに加えて、みちびきにはL6という信号が用意されている。
 L6信号は「センチメーター級測位補強サービス(CLAS)」という配信サービスに使われる。これは電子基準点で把握したGPSなどの衛星信号誤差から測位補強信号を計算して地上から準天頂衛星にアップリンクし、衛星経由で受信機側に補正情報を送るサービスだ。
 5機以上の衛星が見えれば、移動体で水平誤差12cm以下、垂直誤差24cm以下の精度が実現できる。
 内閣府ではこのサービスを、測量や情報化施工での利用を想定し、3~4級の基準点測量や写真測量の標定点測量などに利用できると広報している。また車載型の3次元測量であるMMS(モバイルマッピングシステム)への活用も想定している。
L6信号での配信サービスイメージ

◇PPP-RTK

 L6信号に乗せられたCLASは、精密単独測位(PPP)とも呼ばれている。電子基準点のデータをもとに補正情報を生成し、みちびきの管制局から追跡管制局経由で衛星に補正データをアップリンクし、L6信号で地上に放送する。
 RTKやVRS方式が、基地局と移動局の相対的な補正データとすると、CLASを利用した補正方式は基準点座標に依存しない補正方式とも言われる。
 測位誤差を、衛星軌道・時計、電離層遅延、対流圏遅延などに分離して補正を行う方式がSSR(State Space Representation)方式と呼ばれている。PPPは、この方式の中の1つで、衛星関連と、電離層・対流圏の誤差を補正し、マルチパスと衛星数などの測位者にかかわる誤差は受信機側で補正する。

◇VRSとの違い

 ではL6信号でCLASを利用すれば、基準局や衛星補正データが不要になるかというと、どうもそうではないようだ。
 CLASからの補正情報の配信は、約2万㎞離れている衛星経由となるため、10数秒のタイムラグが発生する。電離層が急激に変化する擾乱などの場合は、測位結果が乱れる場合もある。
 一方でVRSなどの地上型の配信サービスは、携帯電話回線などを使って1秒ごとに補正情報を流すため、遅延時間はそれほど影響しない。CLASを使って建機の刃先をコントロールする場合、遅延時間がどの程度出来形に影響するのか、今後のみちびきの運用開始を待つ必要があるだろう。(田中一博)
VRS方式での補正情報配信


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