【挑戦! i-Construction86】準天頂衛星のCLASは情報化施工に使えるか!? みちびきの測位補強サービスを考える

現在4機体制で運用されている日本のGNSS「準天頂衛星システム(みちびき、QZS)」。ことし11月には、センチメーター級の高精度測位補強サービスCLAS(Centimeter Level Augmentation Service)がサービスインする予定だ。CLASは、国土地理院の電子基準点のデータを利用して電子基準点を用いて補正情報を計算し、測位補強情報をみちびきから送信する。みちびきが送信する信号にはL6DとL6Eという補正情報用のチャンネルがあり、日本国内向けのCLASに加えて、MADOCAという海外でも利用できる高精度測位補正技術に使われる。


◇3つの機能

 あらためて、みちびきの機能についておさらいしてみたい。みちびきは現在静止衛星1機と、8の字軌道を描く3機の準天頂軌道を回る合計4機の体制で運用されている。その役割は(1)GPSの補完(2)測位補強サービス(3)メッセージサービスの3つ。
 GPSを利用する場合の衛星数を向上させる補完と、L6バンド(1278.75MHz)を使ったPPP-RTK、PPP-AR用の測位補強サービスの放送、災害時の危機管理通報や安否確認サービスを提供する。
 なかでも測位補強サービスは、サブメーター級のSLASと、センチメーター級のCLASが提供される。航空機などが主に利用するSBAS(航法補強システム)についても、現在ひまわり7号から放送している信号を2020年度からQZS3号機に引き継ぐ予定だ。

◇CLASと情報化施工

 国の資料によると、CLASは、測量、情報化施工、IT農業(農機を高精度に操作して農地管理をする手法)での利用を想定しているとしている。
 ただ、CLASが情報化施工にすぐに使えるかというと、少し疑問符が付く。CLASは、日本の電子基準点から収集した補強データを、地上から衛星にアップリンクして再び衛星から放送する仕組みだが、衛星が放送できるデータの量が、2Kbpsと帯域が狭く、補強データを計算して約2万㎞上空を経由して届くため、インターネット経由の補強データよりも時間がかかる懸念がある。
 次に精度の問題だが、CLASは、DGPS(ディファレンシャル方式)とは違い、RTK(リアルタイムキネマティック方式)と同様の干渉測位方式だが、現状明らかにされている精度は、静止状態で、水平が6cm以下、垂直が12cm以下となる。移動体では水平が12cm以下、垂直が24cm以下としている。この精度だと、ICT土工の出来形管理基準であるプラスマイナス5cm以内の精度を実現できるかが疑問だ。
 最近は、RTKでFIXまでの時間が短い2周波対応の受信機も、だいぶ価格が下がってきているため、現場に廉価な基地局を置いてしまうと、CLASを利用する根拠が下がってしまう懸念もある。(画像出典:qzss.go.jp)
(田中 一博)

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