【挑戦! i-Construction88】国がICT専門家を自治体へ派遣 〝現場支援型モデル事業〟とは

国土交通省では、ICT施工を地域の中小建設業や地方自治体へ普及拡大するため、導入支援や人材育成支援策を展開している。主な施策としては(1)小規模土工の実態を踏まえた積算の導入(2)地方整備局などによるサポートと3次元設計データ提供など(3)ICTに関する研修の充実(4)地方公共団体への支援--といった4本柱で進めている。今回は、施策の中でも特に力を入れている「現場支援型モデル事業」について取り上げてみたい。

◇事業の内容

 この事業は昨年度から行われており、2017年度以前に茨城県、静岡県でパイロット事業として着手、17年度は北海道を除く地方整備局でモデル事業に着手した。
 事業は、建設事業の大半を占める地方自治体工事にICT活用工事を広めるため、自治体発注工事を対象にモデル事業を行っている。国が「ICT施工の専門家」をモデル工事に派遣し、工程計画の立案支援、ICT建機稼働時の運用指導を行い、確実にICTのメリットを作り出す。
 今年度も全国の各地整から1件以上で実施する予定で、「1県に1件、年間10自治体のペースで行いたい」(本省公共事業企画調整課)という。実際に効果が出た現場を好事例として紹介し、横への展開を目指す。
 昨年度に実施した例としては、茨城県が事務局となり「いばらきICTモデル工事支援協議会」を設置、地元建設業を始め、設計コンサル、測量業、建設機械製造業、ICTメーカーが参加して、3次元設計データ作成講習会など、さまざまな取り組みを進めた。
モデル事業の概要

◇実際の事例

 昨年度の実例としては、3次元設計データを活用した工程計画の見直しとして、2万m3程度の土工現場で、大小さまざまな仮置き土が点在するなか、当初は丁張りに従って小規模ロットで仮置き土を掘削・移動して盛土を繰り返す計画だったが、MCブルドーザーを活用してロットを大きくし、広範囲に敷き均しを行った結果、工期が約60日から約40日に大幅に短縮できた。ICT活用でフロントローディングを実践できたという。
 宅地造成現場の例では、機材調達計画を精査した。切土(1500m3)、盛土(6500m3)の法面整形に、ICT建機と従来型建機を合わせて作業時間を短縮した。衛星測位ができるICT建機を丁張り代わりの目印設置に利用し、従来機がICT機の施工後の面を使って施工することで、高価なICT機の稼働率を向上させた。

▽現場全体を通した活用

 全国複数の現場でモデル工事を進めた昨年度だが、工程計画の見直し、ICT機材選定、建機の活用方法、ICT建機の極限活用などを通して、丁張りレスによる労務費の削減や3次元設計データ内製化による外注費削減、工期削減など、さまざまなメリットを生み出せることがわかった。
 国では、こうした支援型モデル事業のまとめとして、(1)1つの工程を高いICT建機に置き換えても、ボトルネックが移動するだけ(2)施工の全体最適への取り組みが最も重要で、ICT建機の能力を理解した上で、最初の準備段階でICT建機活用を前提とした工程計画にすることがメリットを極大化する--としている。
 国交省では今後も、最新のICT施工技術を導入しやすくするために、基準・制度を先取りして整備する方向だ。
(田中 一博)

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