コベルコ建機は、国土交通省が進める「i-Construction(アイ・コンストラクション)」施策の施工現場拡大を背景に、さらなる対応を加速する。同社の楢木一秀社長は、来春にも香川県内に、同社初のICTデモサイトを開設する考えを明かした。詳細は未定だが、2017年度中をめどに全国5か所の開設を目指す。「実際にマシンガイダンス機を見て、触れて、“味見"してほしい。その上で、ICT(情報通信技術)対応を進める場合はお手伝いしていく」とした上で、「当社の営業マンの教育にも役立つはずだ」としている。
 同社は6月、専門的に対応できる組織として「ICTホルナビ推進室」を創設。独自の情報化施工ブランドとして立ち上げたマシンガイダンスシステム「ホルナビ」を軸に、建機市場全体の約8割の現場をカバーしているニコン・トリンブル、ライカジオシステムズ、トプコンの測量機器メーカー3社と協業することで、「顧客の要望、目線に沿ったマルチシシステムを提供し、測量から施工まで“ワンストップの推進役"」(同社)を担うべく対応を進めている。
 競合他社がICT対応を本格化している中で楢木社長は、「互いの領域に踏み込むことがないため、(当社は)ショベルまわりの開発に専念できる。コベルコ建機で完結せず、あくまで顧客の望む形でi-Con対応力の向上を実現したい」と強調する。
 商品開発においては、17年秋をめどに20tクラスのバックホウを対象に3次元マシンコントロール(3DMC)のオプション対応を進めていく予定で、楢木社長は「上市されているMC機を超える性能をもたせていきたい」としている。

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 i-Construction施策の中核でもある情報化施工は、現場の生産性向上以外にも役立っている。関東地方整備局の関東技術事務所では、地震や水害などで発生する道路寸断の復旧作業に「分解組立型バックホウ」を投入している。
 この油圧ショベルは14のパーツに分割して、交通断絶地区にヘリコプターで空輸が可能だ。また3次元マシンガイダンス(MG)システムと、遠隔操縦・映像伝送システムも搭載し、災害現場での安全な無人復旧作業を可能にする。
 関東技術事務所では、点検も兼ねて分解・組立訓練を展開している。今回同事務所の協力を得て、分解のプロセスを取材した。


◇全国の地整に配備

 この分解・組立型バックホウと、遠隔操縦バックホウは、全国の地方整備局に配備されている。
 北海道開発局から九州地方整備局までのすべての地整にそれぞれ1台から3台が配備されており、全国で16台が保有されている。ことし発生した熊本地震では、九州、四国、中国、近畿、中部、北陸の各地整から合計10台のマシンが現地に集結した。
 関東地方整備局は、分解・組立型バックホウ(遠隔操縦あり)1台と、遠隔操縦型1台を保有している。今回リポートする分解・組立型は、バケット容量が1m3、機体総重量は約25tだ。
 これらの機体は、2014年11月22日に発生した長野県北部地震の時に、白馬村北城で発生した土砂崩れの現場に出動した。地震発生の3日後に、千葉県船橋市の船橋防災センターから、テックフォース2名とともに陸路で出発、320kgを輸送して、翌日から復旧作業に携わった。
長野県で災害復旧に活躍したバックホウ(関東地整パンフレットより)



◇分解・組立作業

 実際にバックホウをヘリコプターで空輸するには、3t級か6t級吊り能力のヘリコプターが使われる。油圧ショベルは、6t級吊りの場合は8ユニット、3t級吊りの場合は14ユニットに分割される。取材時は14ユニットに分割した。
 分解には移動式クレーンを使用する。分解には25m四方の用地が必要で、事前に分解後の置き位置をマーキングしておく。
 分解作業はまず、トラックリンク(履帯)を切り離す位置に機体を駐機し、エンジンカバーなどのカバー類を取り外す。また角度センサーやキャブ上のカメラ類も外す。
 次にアーム、ブームを取り外して仮置き、後部のウエート(おもり)を外す。ウエートは上下に2分割できる特別仕様だ。
エンジンマウントを取り外す

 エンジンマウントを取り外すための専用治具を取り付け、いよいよエンジンマウントを吊り上げて外す。次に右側のフレーム、キャブ、旋回装置、センターフレーム、履帯の左右、トラックの左右を外していく。
 機体は最終的に13のパーツに分けられ、付属品をまとめて収納するボックスと合わせて14分割される。
 今回の作業では完全な分解まで2日、整備、組み立ては4日間で行ったが、出動本番では分解に2日、現地での組み立てを2、3日で完了する。現地組み立ての際は、ヘリコプターで空輸可能な小型カニクレーン2基で作業するという。
 応急復旧で力を発揮するこのICT建機は、日常の地道な保守によって生かされていく。
かなり解体作業がすすんだバックホウ


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 点群での現況・出来形計測に、新たなガジェットが登場した。ライカジオシステムズ(本社・東京都文京区、日比孝典社長)が日本市場に投入したのは「Pegasus:Backpack」(ペガサス:バックパック)。人が背負うバックパックに、2台のレーザースキャナー(LS)、3周波GNSSアンテナ、慣性計測装置(イナーシャル・ミュージャメント・ユニット、IMU)、5台のカメラなどを詰め込んだ。
 ペガサスは、一見すると大きめのバックパックだ。上部にGNSSアンテナ、その下に1秒当たり60万発のLiDARスキャナーが2基、4メガピクセルのパノラマカメラ5基、IMUなどが搭載されている。
 このパックを人が背負って歩くと、半径約50mの周囲を連続的に点群計測する。特徴的なのは、地上形LSのように固定せず連続的に計測できることだ。データは相対的に取得するが、絶対的な座標と多様な解析を使って結びつけていく。

◇多様な点群解析

 ペガサスで取得した点群データは基本的に、GNSSの位置情報を後処理によるキネマティック解析で位置情報を確定するが、さらに2段階の解析機能を持っている。
 衛星信号が受信できない屋内などの場所でも、内蔵したIMUで姿勢角と移動距離を求めている。その情報を、SLAM(サイマルティニアス・ロケーション・アンド・マッピング、後方交会法による自己位置軌跡解析)と呼ばれる解析手法を使い、IMUジャイロ独特のドリフトによる誤差累積を補正する。その後、移動しながら取得した複数の点群テータをさらにマッチングさせて、点群の位置情報を合わせる。
 この機能によって、現場でGNSSの信号がとれない構造物の下や、トンネルの中まで、一貫した点群データが取得できる。
 i-Conでは、現況測量や出来形計測に大きな力を発揮する。測量者自身が徒歩で移動しながら計測できるので、地上LSのように盛り変えが必要ない。またLSのように遠方で放射状に点群密度が減少せず均質な点群が得られ、標定点やターゲットも不要だ。人が歩ければ狭い場所でも計測できる。
屋内で取得した生のデータ
点群マッチングで補正したデータ



◇現場でのフロー

 実際の計測フローを見てみる。現場に持ち込んだペガサスの電源を入れると約10分間かけてGNSSとIMUのキャリブレーションを行う。このとき事前に現地の水準がわかっている基準点など標高のローカライズ点を1点設置する。
 その後ペガサスを背負って、出来形を測る土構造物の天端、法尻、小段などの平場を均等に2往復する。測定後に10分程度キャブレーションを行う。現地計測は以上だ。
 同社では「ワンマンオペレーションが可能で、1度計測した出来形の不合格部分を修正施工したあとに、簡単に計測し直すことも利点」と話している。
 計測後はPCで、RTK-GNSSの後解析、レーザーと写真の合成処理に2-4時間、TIN(不等三角網)メッシュの生成に30分程度あれば、出来形のデータが完成する。データは、LASやDWG、DXF、DGN、E57などで出力できる。

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 国土交通省が、2017年度予算の概算要求に盛り込んでいる「i-Construction(アイ・コンストラクション)普及加速事業」が新たな局面を迎えている。初弾となる静岡県に続き、茨城県が2弾目のモデル自治体として名乗りを上げた。先導モデルとなる自治体の動きが活発化する中、来年4月以降の全国展開へ、各地方整備局を巻き込んだ発注者間の支援や連携体制の構築が不可欠な状況になっている。

◇地域建設業への普及へ

 普及加速事業は、地方自治体や中小建設企業への普及を目的にした“実演型"の支援として17年度予算の概算要求に盛り込んだ新規プロジェクト。自治体が発注する実際の工事を対象にICT(情報通信技術)の導入効果を検証する中で、直轄工事で普及しつつあるトップランナー施策「土工へのICTの全面的な活用(ICT土工)」の“中小領域"への普及を狙う。
 意欲のある都道府県に立ち上げてもらう「支援協議会」を軸に、当該自治体の発注工事でモデル工事を実施。3次元データの作成やICT建機の調達を後押しする、このモデル工事をショーケースにして、受発注者の双方が導入メリットを体感できる機会を創出し、“生産性革命"の実現へ、取り組み機運の醸成につなげる。

◇静岡に続き名乗り

 静岡県に続く、第2弾として名乗りを上げた茨城県は、6日に「いばらきICTモデル工事支援協議会」の設立準備会を開催。県内に生産ライン(工場)を構える日立建機、コマツ茨城といった建機メーカーや地元の建設業団体などを巻き込みながら、来年1月にも協議会として本格始動していくことで合意した。
 「いばらき版・ICT活用工事」の定義として、起工測量、施工用データの作成、ICT建機による施工、施工管理、納品に至る施工プロセスの各段階に3次元を用いることを確認した。実施方針として、土木部が発注する河川、海岸、砂防、道路をターゲットにICT土工を推進する。活用へのニーズが高い港湾や区画整理事業(宅地造成)への適用も見据える。

◇協議会に各地整参画も

 2つの先導モデルが動き出したことで、次のステップである全国拡大へ、それを後押しする支援や連携の枠組みが不可欠になっている。特に導入効果の1つに挙げられる検査日数の短縮や検査書類の縮減は、施工(受注)する建設企業だけでなく、監督・検査を行う発注者側の意識が鍵を握っている場合も多い。
 4月以降のさらなる取り組みの拡大へ、「(各都道府県と)各地方整備局の連携体制や支援の枠組みを作り上げていく必要がある」(総合政策局公共事業企画調整課)と判断。各地方整備局に支援協議会への参画を積極的に働き掛ける方針も示す。
 地方展開が本格的に動き出す中で、自治体との協働体制を構築。i-Conの全国的な普及に弾みをつけていく。

◇いばらきICTモデル工事支援協議会

 茨城県土木部を中心に来年1月に支援協議会の立ち上げを見込む。準備会への参加メンバーは、茨城県建設業協会、茨城県測量設計コンサルタント業協会、茨城県建設コンサルタンツ協会、建設コンサルタンツ協会関東支部といった建設業団体と、日立建機、コマツ茨城といった建機メーカーで構成する。
 モデル工事は、基本的に施工者希望型の発注方式で実施する。年度内に発注する工事だけでなく、既に稼働している工事であっても、ICT土工を取り込める余地があれば、ICT活用工事(モデル工事)に位置付けていく方針だ。
 推進姿勢が鮮明に打ち出される一方で、現状では参画する測量やコンサルタントの関係者から「自分たちのかかわり方が見えてこない」「コンサルタントの役割を明確にしてほしい」といった本音や、施工を中心にした現状への危機感も囁かれているという。
 時間的な制約からモデル工事も施工が中心となるが、仮に当初の設計段階から3次元モデルを導入した場合に、どういった効果が得られていたのかといったシミュレーションを実施していくことも想定している。


 群馬県建設業協会(青柳剛会長)は、会員企業のi-Construction(アイ・コンストラクション)対応に向けた施策を加速している。i-Conに伴うICT(情報通信技術)施工への技術的対応を強化するとともに、生産性向上による若手入職者確保を連動させる。7日に会員企業の技術職員や中之条高校教員、団体職員ら34人の参加のもと、埼玉県秩父市の日本キャタピラー秩父ビジターセンターでICT施工講習・見学会を開いた。

◇秩父では初めての建協講習会

 青柳会長は国土交通省によるi-Conを軸にした2025年の生産性20%向上の動きを踏まえ、「群馬県内のICT土工の現場は限定的な状況だが、人材確保育成とICT施工の普及という過渡期の中で、少しでも前に進むことで技術もついてくる。会社が変化するきっかけとして情報提供するのが協会の役割だ」とあいさつした。
 同センターが建設業協会の講習・見学会を開くのは初めて。キャタピラージャパンの箕輪佳祐コンストラクションテクノロジ&ソリューションテクノロジアプリケーションRepは、i-Conの概要や同社が提供するICT建機のクラウドソリューションサービス「CAT CONNECT」などを説明した。メーカーの垣根を越えて現場のあらゆるICT建機の3次元情報を生産性向上につなげ、「ICTに対する企業のノウハウを強化する」と特長を紹介した。

◇会員への普及に弾み

 デモンストレーションでは、UAV(無人航空機)の3次元測量で取得した情報を使い、3次元MG(マシン・ガイダンス)油圧ショベルや3次元MC(マシン・コントロール)ブルドーザーによる施工を参加者が熱心に見学した。
 青柳会長は「技術は常に新しいところに向かう。ICT施工という世の中のマクロな動きを会員に把握してもらいたかった」と意義を語る。今後も国交省直轄現場での研修会や教育機関と連携した見学会などを企画する意向だ。

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“生産性革命元年"と位置付けられた2016年度。東北地方整備局によるICT(情報通信技術)活用土工工事の発注本格化に歩を合わせるように、システムを提供する建設機械レンタルや建設会社、建設業関連団体の対応も熱を帯びてきている。国の取り組みを民間サイドはいかに捉え、実際にどう動いているのか。建機販売・レンタル大手の日本キャタピラーが2日に宮城県岩沼市の岩沼ICTセンターで開いたセミナーを介して、その一端を紹介する。

◇デモセンターを再構築

 油圧ショベルが動き出すと、室内にいたセミナー参加者の目は一斉に屋外の重機に向けられた。室内にはシステムを説明するオペレーターの声がマイクを通して送られてくる。大きくとられた開口部からは、室内に居ながら建機によるデモンストレーションの様子がよく見える。
 日本キャタピラーが岩沼ICTセンターをリニューアルしたのは11月。そのオープンを記念して11月からセミナーを開いており、この日が3回目となる。今回の参加者は約20人で、そのほとんどが地元の建機レンタル会社の関係者だという。
 過去2回のセミナーも参加者数は同程度。進行を務める同社東北支社営業部の坪井正博販売企画課長は「今回は建機レンタルの人が中心だが、これまでのセミナーには一般の総合建設業も参加いただいている」としつつ「ことしに入って(ICT活用土工工事に対する)関心が非常に高まっていると感じる」と話す。
実機デモを熱心に見守る見学者


◇ヤード実機デモ

 その言葉を裏付けるように、ICTに関する座学に続いて建機によるデモンストレーションが始まると、参加者の目は、オペレーターの説明通りに、自動制御により簡単な操作で法面を薄く整形していく様子にくぎ付けになった。見るだけでなく、実際にマシンガイダンスのブルドーザーに試乗し、オペレーターの説明を熱心に聞く参加者もいる。その真剣な眼差しからもICTに対する関心の高さと、活用の波が間近に迫っていることが肌身に感じられる。
 同社が提案する「CAT Connectコンストラクション」は、UAV(無人航空機)による3D測量から簡便かつ正確な3Dデータ作成、各種ICT建機による効率的な施工など、設計から施工、維持・管理までをトータルでサポートする。その中でも建機レンタルや建設会社にとって最大の関心はICT建機だ。
 そうしたニーズに沿い、セミナーでは建機に搭載する2Dおよび3Dの専用パーツや、必要に応じて双方の変更が容易に行えるシステムの特徴などの説明に重点が置かれていた。

◇今後も見学会開催

 今後も、12月19日に4回目、17年1月19日には5回目のセミナーが予定されており「より多くの方に参加してほしい」(坪井課長)と、ユーザーのさらなる来訪に期待を寄せる。
 同社を始めとするシステム供給側によるアピールはもちろん、東北建設業協会連合会や県建設業協会などの主催による説明会、日本建設業連合会東北支部生産性向上推進特別委員会のICT活用土工工事現場見学会など、関係団体でもICTの本格活用を見据えた積極的な活動が東北各地で展開されている。人手不足が深刻さを増していく中、こうした流れは今後も加速しそうだ。



 UAVの軽快な測量スピードとレーザースキャナー(LS)の詳細な点群取得を組み合わせた「LS搭載型UAV」が登場した。UAVメーカーで3次元計測・処理も行うアミューズワンセルフ(本社・大阪市中央区、佐野一栄社長)は、UAVにレーザースキャナーと慣性計測装置(IMU)を搭載した「TDOT」を開発、実用化している。このシステムは、1m程度の大きさの8枚ローターUAVに、1秒当たり4万点をスキャン可能なLSを搭載し、空中から自動飛行で地上を計測する。
直径1m程度のUAV下部にLSを搭載している


◇計測の流れ

 具体的な計測手順を見てみる。同社が開発している飛行計画ソフト「フライトプランビルダー」は、全国の航空写真データと国土地理院が提供している「DEM」と呼ばれる数値標高モデルを内蔵しており、計測する現場の範囲を地図上で範囲設定すれば地表面からの高さに応じた飛行プランを出力する。
 また飛行中もリアルタイムに、UAVの位置や速度、バッテリー残量を把握して、安全な飛行とスキャンを実現する。
フライトプランを自動作成する

 計測が完了したら、搭載したLSに差し込んでおいたUSBメモリーを抜き、PCに挿入するだけで、プレ解析を行い、リアルタイムに点群データを表示する。
 メモリーには、機体のGNSSアンテナから単独測位で取得した飛行中の自機位置と時間が、ヨー、ロール、ピッチの誤差などを計算して記録されており、現場近くの電子基準点のデータと付き合わせて後処理で精密な自機位置と姿勢を解析、点群の座標を厳密に確定する。

◇空中LS測量のメリット

 空中LS測量は写真測量と比べて、現場に生えている植生の影響を受けにくい。写真では樹木や草の表面しか点群化できないが、LSが発射するレーザーは葉の間を抜けるものもあり、横断方向に切った時に地表面のデータも取得できる。
 また風のある時に撮影した写真では、ステレオ化した時に次の写真と草などの位置が変わるため、点群生成ソフトがエラーを起こすことがあるが、レーザーでは風の影響を受けない。点群処理時に樹木フィルタリングをかければ、樹木が茂っていてもある程度の地表面が現れてくる。
詳細な点群データが得られている


◇冗長性

 高価なLSを空中に飛ばすためには、UAVを絶対に落とさないことが必要だ。そのため同社のUAVには、多くの冗長性手段が施されている。
 UAVのメイン基盤を2重化し、飛行中に基盤が損傷してもサブ基盤に切り替わり飛行を継続する。またローターを8枚にしたことで、4枚や6枚のものに比べて、1つのモーターが故障しても安全に戻ってくる。またバッテリーも並列で接続しており、1つが消耗しても電源供給を続ける。
 UAVの運搬についても設計を作り込んでおり、工具なしで折りたたみ、組み立てが可能だ。飛行時は縦横1m程度の大きさだが、折りたたむと幅40、奥行き93、高さ32cmのケースに収まり、山道でも背負って運ぶことができる。
 工具なしの組み立てにより、マニュアル飛行なら5分、自動飛行などの準備を入れても約15分というスピードで準備が完了する。
折りたたむとコンパクトに収納できる


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 LSを使った出来形管理を行う場合、施工者は施工計画書に「標定点」の設置計画を定める必要がある。これはLSで行う計測結果を3次元座標に変換するために使うが、任意設置できる等、測量機器同様に基準点などに機械設置できるものであれば、標定点の設置は不要だ。
 ただLSによる計測結果を3次元座標へ変換したり、LSを盛り変えて複数回の計測結果を標定点を使って合成する場合は、工事基準点からTSで標定点を作ろう。
 標定点は、計測範囲内に3点以上配置することになっており、プリズムなどを使って4級基準点および3級水準点と同等以上のものを設置する。標定点は工事基準点自体を使ってもよい。
 実際に現場でスキャンする場合は、出来形形状を取得しやすい場所にLSを設置し、まず標定点を計測する。その後、精度確認試験を行ってから、実際の計測を行う。後方公会設置した場合は、LSの座標は確定しているので、精度確認試験を行って計測に入る。
 精度確認の方法は、2カ所以上の既知点を用意してTSやテープで点間距離を実測しておく。その後、実際にLSで計測して点間距離を測ってみる。両者の計測結果が2cm以内(出来形の場合)であれば、試験結果報告書を作成して提出する。

◇気をつけるポイント

 計測で気をつけるべきポイントがいくつかある。まずはLSの特性だ。レーザーは、計測面との入射角が小さいと、精度が大幅に減るという特徴がある。入射角が小さいと、レーザー照射面が楕円状に広がってしまい、この中の反射率が高い場所からレーザーが反射する。本当に測りたい場所はレーザー中心なのに、ずれる現象が発生してしまう。
 入射角が10度程度では、2-5cmも精度低下する場合があるため、極力測定面に正対するように設置すべきだ。
 また目標物との間に障害物があると、当然レーザーは遮られる。仮設構造物や建設機械は見えない方がよい。スキャナーの盛り変えについても、対象物との距離や角度の違いで、取得する点群の密度が変わらないような地点を選んで計画的に行いたい。
 出来形を計測する対象については、計測表面に草木が生えていたり、濡れていたりしないかも気をつける必要がある。
盛り変え時に使用するボール形のターゲット


◇計測の精度と密度

 LSの計測精度と評価に必要な点群密度も、利用場面ごとに求められる数値が違う。計測精度は、出来形計測で2cm以内、起工測量と岩線計測が10cm、部分払出来高が20cmと緩くなっていく。
 取得する点群の密度については、出来形計測が10cmメッシュに1点、起工測量と岩線計測、部分払出来高が50cmメッシュに1点だ。ただし出来形評価用のデータについては1mメッシュに1点でよい。
 点群の密度はLSで簡単に設定できるため、出来形と部分払出来高を同時に計測するケースなどは10cmメッシュに1点以上を設定しておき、点群処理ソフトで間引いて使えば計測の手間が省ける。

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 ICT活用工事で必要な3次元起工測量と出来形管理といえば、空中写真測量を採用するケースが多い。UAVなどを使って空中から写真を撮影し、パノラマ写真から3次元の点群を生成するのが空中写真測量の原理だ。
 また3次元測量のもう一つの方法としては、レーザースキャナー(LS)を使用する方法がある。こちらは「レーザースキャナーを用いた出来形管理」の要領案で規定されているが、この原理は、レーザー光を計測対象に照射して、反射光の距離と角度をつかって3次元座標を計測する。
 レーザーは、トータルステーション(TS)でも使用しているが、そのほか地上形レーザースキャナー、モービルマッピングシステム(MMS)、航空レーザー測量などに応用されている。
 地上形LSは、レーザーを水平・垂直方向に360度回転して照射するので、スキャナーの全周にわたって座標を取得できる。ただスキャナーの設置位置が基準になるので、広い現場を計測する場合は本体を盛り変えて計測し、後で座標を合わせながら点群を結合(レジストレーション)する必要がある。
 LSでは、計測機が地表に固定されているが、空中写真測量は、UAV等を使うため計測機自体が動く。LSの利点としては、固定された座標から距離と角度を実測するという点で、写真測量よりも正確性が高いといえる。

◇必要な機器

LSによる出来形管理の流れ

 LSの出来形管理要領で必要とされている機器構成は、LS本体、点群処理ソフトウェア、3次元設計データ作成ソフト、出来形帳票作成ソフト、出来形算出ソフトとされている。
 LS本体は、測定精度がプラスマイナス20mm以内、点群に色データがあること、精度管理に関する資料も提出が必要だ。
 具体的なソフトについては、点群処理ソフトウェア、出来形帳票作成ソフト、出来形算出ソフトは、福井コンピュータの例では「TREND-POINT」が該当する。このソフトではバージョン4から、帳票作成機能がついた。ほかのメーカーでは、「Trimble RealWorks」(ニコン・トリンブル)、「Image MASTER UAS」(トプコン)などが発売されている。
 一方で3次元設計データ作成ソフトは、EX-TREND武蔵(福井コンピュータ)、Buisiness Center(ニコン・トリンブル)、3D-Office(トプコン)などがある。

◇監督検査での留意点

標定点の例

 レーザースキャナーを用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)は、監督、検査職員向けの規定を解説しているが、管理の流れとして施工計画段階での3次元化の指示、施工者が作成した3次元設計データの確認、出来形数量算出結果の確認、出来形計測状況の把握、書面・実地検査などが、要領のポイントになっている。
 従来からのTS出来形管理と異なるのは、(1)工事基準点だけでなく「標定点」の測量結果(2)3次元データ設計のチェックシート(3)精度確認試験結果報告書(4)LS用の出来形管理図表をそれぞれ確認する点だ。加えて、実地検査の際にTSを使って3次元の設計面と実測値の標高差が規格値に収まっているかを検査する。

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 今回は、焦点距離と画角の関係について見てみたい。焦点距離は、光学的なレンズの中心から、フィルムやイメージセンサーまでの距離のことを言う。この距離が長いと望遠レンズとなり、短いと広角レンズとなる。カメラの世界では、焦点距離=画角と同義のとらえ方をしている。
 画角は、空中写真測量でいうと、現場のどれくらいの範囲を1枚の撮影でカバーできるかということになる。現時点での空中写真測量による出来形計測で、撮影ラップ率は、進行方向に90%以上、隣接コースとのラップ率は60%以上と決められている。画角を広くとれれば、事実上、撮影効率はアップする。
 今回、ズームレンズを使って焦点距離を変えながらスケールを撮影した。使用したカメラは、センサーが4256×2832画素(35mmフルサイズ)、前回と同じ条件の距離10mから50cmスケールを撮影したところ、24mmで150画素(1cm当たり3画素)、50mmで305画素(1cm当たり6.1画素)、70mmで422画素(1cm当たり8.4画素)となった。
 おおざっぱだが、24mmなら30m、50mmなら61m、70mmなら84mの距離まで要領を満足できる計算だ。(ただ撮影高度については、「対地高度50m程度」とされていることには留意したい)。
 3通りの焦点距離と高度から、写る範囲(画角)を計算で求めてみた。
 焦点距離24mm、高度30mで写る範囲は、横方向102m、縦方向40mになる。
 一方、焦点距離50mm・高度61mでは、横50m・縦31mなのに対し、焦点距離70mm・高度84mでは、横46m・縦30mとそれほど変わらない。
 このように焦点距離から撮像範囲を求めることができるので、UAVなどにカメラを取り付けて空中写真測量を行い、3次元座標点を算出する場合は、焦点距離について計算すると、飛行ルートを自分で設定することも不可能ではない。

◇センサーで焦点距離は変わる

フルサイズとAPS-Cの映像素子の比較

 焦点距離で気をつけなければならないのは、あくまでフィルムやセンサーの面積が35mmサイズの場合で計算しているということだ。ハイエンドの一眼レフデジカメでは、「フルサイズ(36×24mm)」というCMOSセンサーが使われていて、銀塩写真のフィルムとほぼ同じ面積のイメージセンサーなので、焦点距離も銀塩写真と同じに捉えてよい。
 しかし、CMOSセンサーの規格には、APS-CやCXフォーマットなど、フルサイズより小さな大きさがある。これはコンパクトデジカメなどに使われており、APS-C(16.7×23.4mm)のセンサーの面積はフルサイズの半分以下だ。
 当然、面積に応じて画素数も少ないので、フルサイズと同じ焦点距離でも、撮影範囲は小さくなる。また実際の焦点距離は、フルサイズより短くなる。デジカメの説明書には「35mm換算焦点距離」という記載があり、写真測量に使うカメラを購入した時は、この点のチェックが重要になる。

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 国土交通省は、i-Construction(アイ・コンストラクション)のトップランナー施策「土工へのICT(情報通信技術)の全面的な活用(ICT土工)」の普及を目的に、取り組み事例集『i-Constructionの取組状況(ICT土工事例集)Ver.1』を作成した。
 事例集として、普及が進む直轄工事や、先進的に取り組んでいる自治体発注工事を紹介。「UAV(無人航空機、ドローン)の使用によって起工測量の日数が短縮できた」「従来よりも少ない人員で対応することができた」「マシンコントロールによって(手元だけに集中することなく)周囲の安全確認に注意を払うことができる」など、実際に工事を施工している建設企業の“現場の声"を交えながら、その取り組み効果を解説している。
 事例の1つである「多伎朝山道路小田地区改良第12工事」(島根県出雲市)は、ICT土工に対応できる技術者の育成に力を入れているカナツ技建工業(元請け)が地域の測量会社や建設コンサルタント、システム会社と連携して、3次元設計データの作成からICT施工まで一連の作業を主体的にこなすなど、そのノウハウの習得に励んだ好事例。作業人員、作業日数が従来との比較でともに4分の1に縮減するなど、まさに建設現場の“生産性革命"につながっている。
 また、ICT活用工事の流れとして、発注者と受注者それぞれの担当者などが行うべき事項を「発注段階」「機器・ソフトウェアなどの準備段階」「施工計画・準備段階」「施工段階」「出来形管理段階」「変更段階」「完成段階」「検査段階」に至る各フェーズに沿って分かりやすく記載。
 全体の流れだけでなく、各段階での書類の様式や記入例なども掲載している。
 事例集は、1日の北陸ブロックを皮切りに、全国8ブロックで開催している2016年度の秋季「地方ブロック土木部長等会議」で配布する一方、7日からホームページでも公開している。
 受発注者の双方にとってICT土工のメリットや理解の促進、取り組みへの機運醸成につながるものになりそうだ。


 ICT活用工事に必要な3次元起工測量と出来形管理計測。最近はドローンなどのUAV(無人航空機)を使って現場上空から写真を撮影し、デジタル写真測量で3次元データをつくる方法が多くなっている。
 こうしたUAV空中写真測量は、(1)工事前のデータと設計データを比較して施工数量を確認したり、(2)工事前後で施工数量(出来高)を計算したり、(3)工事後のデータと設計データを比べて施工精度(出来形)を確認する方法としてi-Constructionでも管理要領が作られている。
 今回は、いったいどんなカメラを使って、空中写真を撮影すればいいのかを掘り下げてみたい。
 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理の監督・検査要領では、デジカメの条件として、(1)計測性能は地上画素寸法が、出来形管理目的の計測の場合、1画素あたり1cm以内(2)測定精度はプラスマイナス5cm以内--と定められている。基本的には、高度は一定で、50m程度で撮影することになっている。

◇1画素1㎝とは

 1画素あたり1cmとは、どのような意味だろうか。写真1を見ていただきたい。この写真はCMOSセンサーサイズが35mmの一眼レフデジカメを使い、レーザー距離計できちんと計測した距離10mから撮影した画像だ。
(写真1) 画面中央に50㎝スケールを置いている

 撮影データは、イメージの大きさが横4256画素×高さ2832画素。焦点距離24mm、絞り5.6、シャッタースピード125分の1、ISO感度400だ。
 この写真に映っている幅50cmのスケールを拡大すると、写真2になる。
(写真2)中央のスケールを拡大した

 画素は、フォトショップなどの画像処理ソフトで写真を開き、水平や垂直をとったスケールをトリミングしてから、「画像解像度」を確認するとわかる。
 スケールの画素数を数えてみると、50cmの幅に152画素あった。1cmあたり3画素あるため、要領の3倍ほどの密度があるのでクリアできる。また1画素あたり1cmの規定ならば、30m離れてもクリアできることになる。

 このカメラであれば、UAVに搭載しても高度30mから撮影することができる。
 写真3は、一般的なコンパクトデジカメで同じものを同じ距離で撮影した。撮影データは、イメージの大きさが横2816画素×高さ2112画素。焦点距離25mm、絞り5.6、シャッタースピード60分の1、ISO感度200。
(写真3)コンパクトデジカメで撮影したスケール

 コンパクトデジカメなので、やはり画像が粗く、同じスケールを拡大すると、50cm幅に108画素となった。この場合は1cmあたり2画素となるので、UAVに搭載した場合は高度20mまでしか撮ることができない。
(写真4)コンパクトデジカメだと画像が荒いことがわかる

 実際に現場で使用する場合も、距離をきちんと測ってスケールを撮影し、画像処理ソフトで拡大して画素を確認すれば、要領に合致している写真が撮影できるかを判断できる。あらかじめ飛行高度がわかっていれば、その距離に合わせて撮影すれば、より判断しやすい。
(この解説は、現在の管理要領に基づいて解説しています)

 前回まで、油圧ショベルのICT建機化を取り扱ってきたが、今回はブルドーザーに3次元マシンコントロール(3DMC)システムを取り付ける。使用するブルドーザーは、キャタピラーのD3Kという機種だ。GNSSではなくトータルステーション(TS)による座標指示で施工できるようにする。アクティオの協力で行った。

◇ハードの取り付け

TSターゲットを取り付けるマスト

 ブルドーザーは、油圧ショベルに比べて可動部分が少ないので、設定は比較的簡単だ。今回もニコン・トリンブルのシステムを使用する。
 まず、排土板(ブレード)背面にTSターゲットを取り付けるためのマスト(EM400)を取り付ける。システムは、ブレードの勾配とピッチを計測する2つのセンサー、コントロールボックス、バルブモジュール、無線機などで構成されている。
ブレード裏にあるセンサー
このセンサーでスロープを検知する

 ハードのセッティングは、建機に対してブラケットやマウンティングプレートの溶接が必要だが、例えばキャタピラーなどではメーカーが出荷時にそうした作業を行っている機種がある。そうした機種であれば、各種機器類のハーネスなどを接続してセッティングは数時間で終わる。

◇建機の数値を設定

 ハードの装着後は、コントロールボックスで「建機の設定」を行う。設定は、ブルドーザーのモデル、マストの位置、無線機、ブレードタイプ、バルブモジュールなどを指定したあと、建機の寸法を測ってシステムに入力する。
 建機の寸法は、ブレードの刃のボルトを基準に、マストの高さ、奥へのオフセット、ブレードの幅、高さ、刃の切削端を計測して、ミリ単位で入力する。また建機の全長、本体から刃の先端までの距離を測って入力する。
ブレードの数値を計測
マストの高さも測る
数値入力が終わると、実際にブレードを動かしてセンサーの数値が変わるかを確認する。
 その後、トータルステーション(TS)との無線通信を設定する。「接続設定」というメニューで、無線機のチャンネルとネットワークIDを指定し、電源を入れたTSとの通信が確認できればOKだ。
 こうしてセットアップが終わると、キャリブレーションという作業を行う。まずセンサーについて、マストを垂直にした状態で、キャリブレートというボタンを押すと、センサーと通信して自動的に行われる。
バルブをキャリブレーション

 また、3DMCでは油圧バルブも自動で制御されるため、「バルブキャリブレーション」も行う。エンジンをかけた状態でリフト、チルトともにメニューから選ぶだけで、約10分間かけてシステムが自動的にバルブの調整をしてくれる。あとは設計データを読み込ませれば、3DMCでの施工がスタートできる。
 実際にブルドーザーに乗り込んでから行うのは、TSとの連携だ。工事基準点や後方交会法で任意点に設置したTSとターゲットIDを合わせて通信を始める。
コントロールボックスを設定

 TSはブルドーザーのマシンターゲットを自動追尾して、位置情報をブルに送る。オペレーターが左手レバーに付いているAUTOボタンを押せば、コントロールボックスが格納されている3次元設計データと照合しながら、ブレードを設計面に合わせて自動でコントロールしてくれる。
TSと連携させた

 アクティオのヤードで行った講習会では、初心者である記者や参加した女性でも簡単に、3DMCによるブルドーザー施工ができることを実証した。

 前回、油圧ショベルへのGNSSアンテナ据え付けとコントロールボックスへの建機設定を行った。3次元マシンガイダンス(3DMG)油圧ショベルの場合は、2台のGNSSアンテナと、ブーム、アーム(スティック)、バケット、ピッチ・ロールを感知するセンサー、GNSS基準局との通信を行う無線機、コントロールボックスで構成されている。
接続テストの画面
コントロールボックスの電源を入れると、それぞれの機器との接続テストが始まる。すべての機器との接続が完了すると、ステータスに「接続済み」という表示が出て、機器が正常に動いていることを確認できる。

◇RTK方式とは

 油圧ショベルのGNSSアンテナは、移動局と呼ばれるもので、これだけではセンチメートルレベルでの正確な座標が計算できない。RTK(リアルタイムキネマティック)という方法を使って、補正情報を受信する必要がある。
RTK方式

 補正情報は「基準局」と呼ばれるGNSSアンテナと受信機から、無線で受け取る必要がある。基準局は、すでにわかっている座標(既知点)に固定し、GNSS衛星から測位情報を解析し、信号の揺らぎなどを移動局と比較して精度を上げていくための情報だ。従ってRTK方式では、3つのGNSSアンテナを使うことになる。
ネットワーク型RTK方式(VRS)

 基準局を現場に設置せず、移動局だけで運用する方法もある。こちらはネットワーク型RTK方式(VRS)と呼ばれ、全国に約1300点設置されている電子基準点を使って、補正情報を得る方法だ。
 現場近くにある電子基準点が計測している衛星の測位情報から、油圧ショベルの移動局に補正情報を提供する。具体的には、ジェノバのような補正情報データ提供会社と契約し、携帯電話回線を使って油圧ショベルが補正情報を受信する。

◇基準局の設置

 今回のセットアップはRTK方式なので、現場事務所の屋根に基準局を設置する。事務所から電源を引き、きちんと測量した座標に受信機一体型のGNSSアンテナを取り付ける。アンテナと無線機を接続し、無線機の周波数やネットワークIDを設定する。
現場事務所屋根に基準局を設置
油圧ショベル側のコントロールボックスでも、基準局と通信できるように、無線機の周波数とネットワークIDを同じに設定する。設定が正しくできれば、油圧ショベルに基準局からの補正情報が送られ、建機の正確な位置がコントロールボックスに表示される。
コントロールボックスで受信機を診断
衛星数や位置も確認できる

 ちなみに衛星の受信状態は、コントロールボックスから確認できる。診断というメニューから、機体左右のそれぞれのアンテナが、何機の衛星を補足しているのか、衛星からの信号はきちんと受信されているかが確認できるほか、「スカイプロット」というメニューからは、補足している衛星の天空位置とGPS、GLONASS、GALILEOといった周波の種類までも教えてくれる。
 ここまでの作業で、建機のインストレーションは完了する。あとは、セットアップメニューから「センサーのキャリブレーション」を選び、各センサーの調整を行えば施工準備が整う。
設計データを読み込ませた
刃先位置を表示させた

 あとはUSBメモリーで、発注図面から作成した3次元設計データファイルを読み込ませれば、ICT活用工事で指定されている「3Dマシンガイダンスを利用した施工」が始められる。
 次回は、この作業をブルドーザーでも行ってみる。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)