前回までに「EX-TREND 武蔵」建設CADで、発注図面から3次元設計データを作成した。2次元で描かれた平面、縦断、横断3種類の図面から生成した3次元モデルは、3次元マシンコントロール(MC)ブルドーザーや、3次元マシンガイダンス(MG)、MC油圧ショベルといったICT建機に搭載して使う。
 建設CADからのデータ書き出しは2種類ある。1つはLandXML形式、もう1つは汎用のCADフォーマットであるDXF形式だ。左側メニューからいずれかを選び、ファイルを書き出す。同メニューからは、TS出来形用の基本設計データXML形式での出力やグーグルアース向けファイルも書き出せる。
武蔵の建設CADからDXF形式でデータを書き出す



 前回、発注図書の平面図から工事の主要座標や基準点、カーブを入力した。次は縦断線形を入力する。建設CADは、3次元データ作成の機能を立ち上げると左のカラムに入力するべき順番どおりにメニューが現れる。
 縦断メニューをクリックすると読み込んだ発注図書ファイルから縦断図を選び出して、メーン画面の上段にエクセルのような表で、測点名、追加距離、計画高、VCL(縦断曲線長、バーチカル・レングス)、R(曲線半径)の入力画面が現れる。
縦断図に高さ情報を入力する

 また下部には、縦断図が表示され、表に数値を記入するとリアルタイムに縦断設計データのプレビューを確認できる。入力ミスを防ぐために、縦断図の数値をクリックすると図面から直接数値を読み込んで、表に転記してくれる機能もある。
 今回の図面では、縦断方向で3カ所の変化点があるためBPとEPの間に3つのデータを追加する。

◇横断図面を取り込む

 平面と縦断のデータ入力が終わったら、いよいよ道路の断面を入れていく。これまでの段階では道路のセンターが決まっているだけだが、今回は10mピッチで横断図が用意されているので、140m分の15カ所の横断図をトレースする。
横断図をトレース

 左側メニューの「横断」から計画を選択、断面を1つドラッグで選ぶ。するとソフトの方で中心線の距離基準とDL線の高さ基準値を自動的に取得、同時に測点名、図面縮尺もフォームに取り込んでくれる。入力者はその数値が正しいことを確認して、BPからの追加距離を打ち込む。
 この作業で平面と縦断のセンター位置に、各横断図面がプロットされる。また横断形状は、マウスで計画断面の始点と終点を選択すると、ソフトが自動的に法面や道路面、小段などを認識して候補として表示してくれる。


横断面をすべて入力すると現れる3次元データ
EPまでの15の横断面で同じ作業を繰り返して登録すると、ソフトの3次元表示画面に、きれいな3次元モデルが現れた。道路面は灰色に、センターラインは白、法面は肌色、小段は緑と色分けもされている。このモデルは、マウスで自由に動かすことも可能で、初心者の記者としては、数十分の作業でここまで美しい3次元モデルを作れたことに驚いた。
 それぞれの横断図も、法面の勾配と斜距離や、道路面の距離、センターからの離れなどがデータ化されている。

◇TS出来形管理にも

 この段階で、設計図面どおりに3次元データの作成が完了した。もしこのデータを「TS出来形管理」に使う場合、工種の設定、出来形の設定も行うことができる。
 きちんとデータを作れば、ソフトの方である程度の構成要素を付加してくれるが、手動で設定もできる。その後、工種設定として、掘削工、路体盛土工、路床盛土工、地下構造物配置なども可能だ。
管理項目も表示される

 出来形設定メニューでは、基準高、幅、法長、深さ、厚さ、延長、面積、断面積といった管理項目を設定できる。管理項目は、これまでの手順でデータ作成していれば自動で設定されるが、手動での変更も可能だ。

 平面、縦断、横断図の図面照査が終わったら、いよいよ現場の座標を登録する。現場に設置する複数の工事基準点をX、Y、Z座標で入力し、路線主要点となる道路線形の各測点をX、Y座標で入力する。
 今回使用する図面では、工事基準点がT1からT12までの12点。路線主要点が初点のBPから始まって、単曲線のBC1、EC1、次にクロソイド曲線を構成するKAからKEまでの4点、そして終点EPまでの合計8点を入力した。
 今回使用した「EX-TREND 武蔵」建設CADには、入力した座標を音声で読み上げ確認してくれる機能もある。
座標を入力し終わったところ。読み込んだ図面上に座標がプロットされる


◇3次元設計データ作成

 建設CADは、図面を作成する機能以外にも、杭打ち計算やトラバース計算機能なども持っているが、今回は「3次元設計データ作成」機能を使う。
 先ほど工事に使用する座標が入力し終わったので、平面線形から入力する。計算設定で、座標や距離の計算で数値をどこまで丸めるかを決める。今回はXY座標が小数点以下6桁で四捨五入、距離は4桁、勾配や地盤高は3桁に設定した。
 次に計算条件として計算方法は、エレメント法、No杭は10mピッチで打つ設定にした。
 使用する図面は、長さが140mの対向2車線の道路を盛土と切土で構築する設計になっている。
 いよいよ道路線形を入力する。数値で入力することも可能だが、今回は「ウィザード」を使って、対話式に設定値を入力する方法をとった。初心者でもこの方法なら、分かりやすく線形入力できる。
 まず図面全体の初点に「BP」、終点に「EP」を指定し、カーブを追加していく。この図面では、単曲線が1つ、クロソイド曲線が1つのS字形状道路なので、まず初点よりの単曲線要素であるBC1とEC1を指定、曲率(R)を図面に書いてあるとおり15.00と打ち込むと、見事に座標上にカーブが現れた。
見事に2つのカーブが現れた


◇クロソイドカーブ

 次は2つめのカーブを入力する。クロソイド曲線(緩和曲線)、単曲線、クロソイド曲線の組み合わせなので要素が若干多い。クロソイドカーブとは、曲線半径が一定の率で変化するカーブで、曲がり始めのクロソイド曲線はハンドルを同じ速度で回し、単曲線の区間ではハンドルを固定、カーブの終わりのクロソイド曲線にハンドルを同じ速度で戻すことで、運転者がスムーズに曲がれる仕組みだ。
 データ入力では、始めのクロソイド曲線の始まり(KA.2-1)、終わり(KE.2-1)の座標点名と、パラメータ(曲率の変化率)(A)、曲線半径(R)を指定する。次に単曲線部分のRを指定、さらにカーブ出口側のクロソイド曲線の始まり(KA.2-2)と終わり(KE.2-2)の座標点名、パラメータ(A)に、半径(R)を打ち込む。
カーブを入力後、センター表示で10メートルピッチの測点が登録される

 必要な項目を入れてOKすると、きれいな曲線が座標上に描かれた。またIP点(インターセクション・ポイント)も自動的に算出される。最後に「センター表示」というボタンをクリックすると、プログラムが自動的に10mピッチで測点を追加してくれる。

前回までは、実際のフィールドで測量系実習を展開してきた。i-Construction(アイ・コンストラクション)で実際に道路土工などを行う場合、避けては通れないのが「3次元設計データ」の作成だ。ICT建機を現場で動かすためには、重機を動かす受注者が2次元のCAD図面から3次元座標データを作成する必要がある。
 講習会メンバーは、東京・銀座の福井コンピュータグループ銀座事務所で、施工管理ソフトである「EX-TREND 武蔵」の建設CADを使って、設計データの作成実習を行った。コンサルから受領した2次元平面の発注図書の縦断、横断図から、マシンコントロール(MC)、マシンガイダンス(MG)重機に転送する3次元設計データを作成する。
「EX-TREND 武蔵」の建設CAD