これまでマシンガイダンス(MG)が主流だったICT建機バックホウ。しかし3次元マシンコントロール(3DMC)バックホウが各メーカーから提供されるようになってきた。
 現在、3DMCのバックホウを提供できるのは、コマツ、日立建機、キャタピラーの3社。コマツの「インテリジェントマシンコントロール」シリーズ、キャタピラーの「Cat GRADE with Assist」シリーズ、そして日立建機「Xシリーズ」。また、コベルコ建機と住友建機もすでに開発に着手している。

 前回、レーザースキャナー(LS)を使った3次元計測を、フィールドで5回行った。本体に挿入していたSDカードに、5回分の測定データが5つのファイルに分けられて記録されている。このSDカードを本体から抜き取って、いよいよ点群データの加工を行う。

SDカードを本体から抜き取る
今回は、ニコン・トリンブルのTX-5という機種を使って測定したので、3次元データの処理も同社のソフトで行う。点群データを処理するソフトは、「Trimble RealWorks」というソフトだ。
 このソフトは、数百万点以上の膨大な生の点群データを現場で必要な状態に加工したり、CADシステムで利用できる形にコンバートするなどの役割を担っている。
Trimble RealWorksの画面
Trimble RealWorksを立ち上げ、スキャンした5つのデータをソフトに読み込ませると、きれいなパノラマ写真のような画像が表示される。これはスキャンした点に、3次元座標に加えてRGBの色データも取得されているので、写真のように感じられる。
写真のようにも見える取得データ
次は、前回スキャン時にフィールドに設置した「ターゲット球」という合成処理用標識を使って、5つの場所から取得した点群データを合成する。RealWorksは、自動的にデータからターゲット球を読み取り、合成してくれる機能がある。また「レジストレーション」という合成ターゲットがなくても合成してくれる機能も持っている。特徴点を自動的に判断して、複数のスキャンによる点群を合成する。
 5つのデータが合成され、現場全体の点群が1つのデータにまとめられた後は、データの加工作業を行う。
 スキャンした点群データには、現場に置いてある建機や生えている草木、作業員など、実際には不要なものも写り込んでいる。また、データ取得するスキャナーの真下も計測できないので、スキャンデータを開くと円形のスキャナー影や三脚の一部のデータが反映されていない部分もある。
スキャナーの直下は、点群がない
不要な点群は、ソフト上で点群を指定して樹木や建機を取り除く。データが少なかったり足りない部分は、違う場所から取得したデータで補う。不要なノイズ点群が除去され、足りない点が補われると、工事に必要な現地盤の3次元データが完成する。
 完成したきれいな現況測量の3次元データは、コンサルから提供された設計図書をもとに、設計データ作成ソフト(トリンブルではBusiness Center-HCE)などで作成した3次元設計データと重ね合わせて、必要な土量計算を始め、現況のTINデータ、現況の縦断面や横断面の切り出しや、コンタ図の作成もできるようになる。
合成が終わった点群データ
地上LSによる計測は、UAVによる空中写真測量に比べ、レーザーで直接、精度の高い3次元座標がとれることや、UAVでは必須の事前飛行計画、飛行手続きなどが不要な面でアドバンテージがある。一方でLSは、スキャナーを人力で置き換えながら計測する手間や、上空からの手軽な計測ができないところが弱点だ。UAVとLSは、現場の状況に合わせて最適なものを選びたい。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

 これまでにUAV(無人航空機)を使った点群生成や出来形管理を見てきたが、今回はレーザースキャナー(LS)を使った3次元計測や図面作成への流れを見ていきたい。建機レンタル会社アクティオの協力で、実際のヤードを使用した3次元LSの計測と、計測データから図面を起こすまでの手順を見ていこう。

 前回、写真測量ソフトで点群データを生成、点群処理ソフトのTREND-POINTで、点群データのフィルタリングと現況データ、計測点群データを作成した。今回は連載の12回から15回で作成した「3次元設計データ」との関連性を見てみよう。
 TREND-POINTは、現場の現況の点群データに、EX-TREND武蔵で作った3次元設計データを重ねられる。現況と設計を比べれば、切土すべきか盛土すべきかの判断ができる。起工時には、このデータから現地のどの場所の土を動かすと一番効率がよいかが分かるうえ、実際に測ったデータなので差分土量もすぐに計算できるということになる。
 土量だけでなく、出来形管理も可能だ。現場内の任意の位置で工事断面を切り出せる。定期的にUAVで現場を写真撮影し、現況を更新していけば、施工管理にも役立つ。ここがi-Constructionの大きな導入効果の一つだ。
 また出来高の部分払いにおいても、こうしたデータは活躍する。
 15の基準類の12番目の「部分払いにおける出来高取扱方法(案)」では、要領に従ったICT重機の施工履歴データや、UAV、レーザースキャナ(LS)で概略数量を算出した場合には、算出数量の9割を出来高数量にできるとしている。

◇ヒートマップでの管理

 出来形管理の監督・検査要領には「出来形管理図表の確認」「電子成果品の確認」という項目がある。出来形管理図表については、「ヒートマップ」を使った出来形合否判定総括表が導入される。これについては、9月に福井コンピュータを始め、他のソフトウエアベンダーからも対応製品が発売される予定だ。
 ヒートマップはUAVを使って、平場、天端、法面のすべての出来形計測を行う個所で、10cmメッシュに1点以上の出来形座標値を取得し、データの間引きやグリッドデータ化で1㎡当たり1点以上の出来形評価用データを作成して出来形評価を行う。規格値に比べて異なっているメッシュを色分けして表示する(法肩、法尻からプラスマイナス5cmは評価から外す)。
 これまでの出来形管理は、断面という線の評価だったが、ICT活用工事では面での評価になったといえる。



◇電子成果品の中身


 要領には、提出すべき電子成果品が7つ列挙されている。これを解説していこう。「(1)3次元設計データ」は、文字どおりTINによる設計データファイル。「(2)出来形管理資料」は、さきほどの出来形管理図表のことで、PDFかビューワー付きの3次元データを用意する。「(3)UAVで撮影したデジタル写真」は、実際にUAVで撮影したJPGファイルをすべて提出する。
 「(4)UAVによる計測点群データ」は、データを処理する前のオリジナルな点群データのことで、ポイントファイル形式で用意する。
 「(5)UAVによる出来形計測データ」は、数量算出に使うもので計測点群データを加工して不要点を削除したもの。10cmメッシュに1点以上の点が必要。TINデータを作成して提出する。「(6)UAVによる出来形評価用データ」は、出来形管理帳票(ヒートマップ)作成に利用した点群データを出来形評価用データと呼び、このデータをCSVなどのポイントファイルで提出する。
 最後は「(7)工事基準点および標定点データ」で、TSなどで計測した座標をポイントファイルで提出する。UAVで撮影する時に、計測結果を現場座標系へ変換するために必要で、パイロットにもある程度の測量知識が必要となる。