前回、油圧ショベルへのGNSSアンテナ据え付けとコントロールボックスへの建機設定を行った。3次元マシンガイダンス(3DMG)油圧ショベルの場合は、2台のGNSSアンテナと、ブーム、アーム(スティック)、バケット、ピッチ・ロールを感知するセンサー、GNSS基準局との通信を行う無線機、コントロールボックスで構成されている。
接続テストの画面
コントロールボックスの電源を入れると、それぞれの機器との接続テストが始まる。すべての機器との接続が完了すると、ステータスに「接続済み」という表示が出て、機器が正常に動いていることを確認できる。

◇RTK方式とは

 油圧ショベルのGNSSアンテナは、移動局と呼ばれるもので、これだけではセンチメートルレベルでの正確な座標が計算できない。RTK(リアルタイムキネマティック)という方法を使って、補正情報を受信する必要がある。
RTK方式

 補正情報は「基準局」と呼ばれるGNSSアンテナと受信機から、無線で受け取る必要がある。基準局は、すでにわかっている座標(既知点)に固定し、GNSS衛星から測位情報を解析し、信号の揺らぎなどを移動局と比較して精度を上げていくための情報だ。従ってRTK方式では、3つのGNSSアンテナを使うことになる。
ネットワーク型RTK方式(VRS)

 基準局を現場に設置せず、移動局だけで運用する方法もある。こちらはネットワーク型RTK方式(VRS)と呼ばれ、全国に約1300点設置されている電子基準点を使って、補正情報を得る方法だ。
 現場近くにある電子基準点が計測している衛星の測位情報から、油圧ショベルの移動局に補正情報を提供する。具体的には、ジェノバのような補正情報データ提供会社と契約し、携帯電話回線を使って油圧ショベルが補正情報を受信する。

◇基準局の設置

 今回のセットアップはRTK方式なので、現場事務所の屋根に基準局を設置する。事務所から電源を引き、きちんと測量した座標に受信機一体型のGNSSアンテナを取り付ける。アンテナと無線機を接続し、無線機の周波数やネットワークIDを設定する。
現場事務所屋根に基準局を設置
油圧ショベル側のコントロールボックスでも、基準局と通信できるように、無線機の周波数とネットワークIDを同じに設定する。設定が正しくできれば、油圧ショベルに基準局からの補正情報が送られ、建機の正確な位置がコントロールボックスに表示される。
コントロールボックスで受信機を診断
衛星数や位置も確認できる

 ちなみに衛星の受信状態は、コントロールボックスから確認できる。診断というメニューから、機体左右のそれぞれのアンテナが、何機の衛星を補足しているのか、衛星からの信号はきちんと受信されているかが確認できるほか、「スカイプロット」というメニューからは、補足している衛星の天空位置とGPS、GLONASS、GALILEOといった周波の種類までも教えてくれる。
 ここまでの作業で、建機のインストレーションは完了する。あとは、セットアップメニューから「センサーのキャリブレーション」を選び、各センサーの調整を行えば施工準備が整う。
設計データを読み込ませた
刃先位置を表示させた

 あとはUSBメモリーで、発注図面から作成した3次元設計データファイルを読み込ませれば、ICT活用工事で指定されている「3Dマシンガイダンスを利用した施工」が始められる。
 次回は、この作業をブルドーザーでも行ってみる。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
北陸地方整備局信濃川下流河川事務所が進める山島新田地区河道掘削事業と、当該工事で導入するICT(情報通信技術)土工の目的を広く発信する「愛(I)CT情報館」が20日、新潟県加茂市鵜森山地先にオープンした。同日に開かれたセレモニーには多くの関係者が出席。北陸初となるICT情報館の設置を祝うとともに、河川土工のICTモデルとなり得る同事業の円滑な推進に期待を寄せた。


島内にiCT対応建機がないという地域差が原因か(写真と本文は関係ありません)
新潟県土木部が2016年度から試行しているICT(情報通信技術)活用工事4件(10月6日現在)のうち、2件でICTの導入が見送られた。ともに工事現場は新潟県佐渡市。地理的な特性からICT建機やその操作に関するサポート体制が確保できなかったことが主な要因とみられる。ただ、同様の問題は離島に限らず、山間地などのへき地でも生じる恐れがあり、土木工事のICT化に地域差が懸念される。

◇離島という障壁

 同市内のICT活用工事の対象は、▽主要地方道佐渡一周線沢崎工区道路改良工事(施工者・中野建設工業)▽同竹ヶ鼻バイパス道路改良工事(共栄建設工業)--の2件。導入を断念した経緯は明らかになっていないが、島内にはICT建機がなく、本土から取り寄せる場合は運搬費が別途発生するほか、操作方法などに精通した人材が必要なこともあって、二の足を踏んだようだ。
 一方、ICT土工が市街地を中心に進んでいけば、離島、山間地などとの“浸透率"の格差は広がり、それが地域建設業に波及していく可能性は否めない。

◇新潟県の対応

 県土木部はICT活用工事の試行結果を踏まえ、次年度以降の施策展開に生かす方針。また、補正予算の編成を待って、試行案件の追加を検討するという。既に国川地すべり対策工事(田中産業)と一級河川渋海川広域河川築堤工事(大石組)がICT活用工事の初弾に決定している。
 試行案件はすべて手上げ方式(施工者希望型)。従来施工の積算で契約した後、施工者の希望に応じてICT用の歩掛かりで変更契約し、UAV(無人航空機)やICT建機の導入を後押しする。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
i-Construction型工事(ICT活用工事)を受注した時にやらなければならない5つの条件がある。それは、(1)三次元起工測量(2)3次元設計データ作成(3)ICT建機による施工(4)3次元出来形管理などの施工管理(5)3次元データの納品--だ。
 今回は、このうち(3)にあるICT建機による施工(3Dマシンコントロール、3Dマシンガイダンス)にスポットを当てる。
 活用工事に取りかかって、3DMGの油圧ショベルが現場に運び込まれた場合、どのようなことを行わなければならないのだろうか。それは、建機のセットアップだ。今回は、日本キャタピラーの協力でその手順を体験できた。

◇CAT312Eをセットアップ

新品のGNSSアンテナ
 セットアップするのは、CATの312Eという機種で、機体に「Grade Control」というロゴが書かれている情報化施工対応機種だ。トータルステーションではなく、機体のGNSSアンテナ2基と、現場に基地局を設置してRTK(リアルタイムキネマティック)方式で補正情報を取得するタイプのセッティングだ。
建機にはまだアンテナも立てられていないので、鉄製のマストとGNSSアンテナを機体後部まで運び上げる。
 対応型建機は、工場出荷の段階でマストや無線機を取り付けるブラケットやハーネスを通す穴などが用意されている。
マストにアンテナを取り付ける

 その取り付け位置にマストとアンテナを取り付け、ハーネスを機体内部に取り回し、また角度センサーをバケット、アーム、ブーム、本体にそれぞれ取り付ける。
 オペレーターが操作するコントロールボックスをキャビンに設置し、センサー類、無線機、アンテナを接続すれば、とりあえず3DMG油圧ショベルの完成だ。
建機内部でハーネスを取り回す
キャタピラーのマシンにニコン・トリンブルのシステムを取り付けるのは簡単だが、対応していない建機に情報化システムを取り付ける場合は、ブラケットの溶接などが手間になる。
 情報化施工システムは高価なので、同一の対応型建機を複数購入し、施工時期に合わせてシステムだけを載せ替えるという運用をしている建設会社もある。
キャビンのコントロールボックス

◇建機の設定

 ハード類が取り付けられたあとは、コントロールボックスを使った建機の設定を行う。今回は、トリンブルのCB460というコントロールボックスに、GCS900というシステムが載せられている。コントロールボックスの電源を入れ、インストールというメニューから、建機の寸法を入力する。寸法は、アーム、ブーム、スティック、バケットのピンの中心の距離を、項目に従ってミリ単位で計測し、正確に入力する。

コントロールボックスで、実際の建機の寸法を計測して入力
トータルステーションを使えば正確で簡単に測れるが、ブームピンが本体カバーに隠れている機種もあるので、セットアップ時には取り外して計測する必要がある。
 また同じ型番の機種であっても建機の個体差があるため、計測結果は機体ごとに管理しておくほうがよい。油圧ショベルは、関節が多く、バケットの爪先までいくと、細かい誤差が積み重なっていくので、正確に計測しておくべきだ。
 また本体についても機体の幅、地面からブームピンまでの高さ、マストから建機後方までの距離なども入力する。


建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

 パスコは、6月から西尾レントオールと開始した「ドローンを活用した3次元測量とデータ加工・処理サービス」で収集した3次元データで土量計算や出来形管理ができる専用ソフト「PADMS:i-Con」を開発した。国土交通省が3次元データ用に整備した調査・測量、設計、施工、検査の新基準に対応している。
 新ソフトは、国交省が打ち出したi-Construction(アイ・コンストラクション)向け専用で、新基準にあわせた土量計算や出来形管理、評価・検証・成果物作成に特化している。ドローンによる空撮で取得した標定点・検証点データや設計3次元モデルを取り込み、出来形評価用のメッシュデータを自動生成するほか、計測点群データの間引きや設計3次元モデルと計測点群データの比較差評価、土量算出・評価、出来形管理図表作成支援などができる。基盤システムには、高速処理と高いレスポンス性能が評価されている「PADMS」を採用した。
要領に対応した出来形管理図表も作成できる

 期間契約でライセンスを提供する方法で、1ライセンスは年額35万円(税別)。現場で使用する期間(月単位)での契約が可能で、期間中はソフトウエアのバージョンアップやヘルプデスクサポートも充実させる。

(2016年10月5日 建設通信新聞)


 日立建機日本の協力で、真新しいZX200X-5Bに試乗させていただく。通常の20tクラスバックホウの背面にはHITACHIの文字しか書かれていないが、Xシリーズには、「3DMC」と「X」のロゴが書かれている。履帯はまだ塗装がきれいに残っており、キャビンのシートやモニターには、保護ビニールがかかったままだ。
 X-5Bに搭載されているのは、トリンブル製のシステム。キャビンにはモニターが2台付いており、1つは日立製の油圧ショベル標準モニター、もう1台はトリンブル製のGCS900が搭載された3DMCモニターだ。
キャビンにはモニターが2台
ブーム、アーム、バケットに傾斜センサー、本体に車体用の角度センサーが取り付けられていて、キャビン外側に無線機、車体後方にGNSS受信機が2台搭載されている。GNSSの補正情報は、RTK(基地局方式)でもVRS(ネットワーク方式)でも対応できる。
ブーム付け根のセンサー
標準モニターには、2次元マシンガイダンス(2DMG)、マシンコントロール(2DMC)用の表示がされる仕組みのようで、これまでの標準モニターで燃料計と水温計の表示部分に、施工目標面やバケットの位置関係を表示するようになっている。
 エンジンをかけると、「外部MGをONにしてお待ちください」という表示が出るので、トリンブルのGCS900と連携を開始しているようだ。標準モニターには、バケットの背面角度と水平角度がリアルタイムに表示されている。また、操作レバーに付いているスライドボタンで、コントロールボックスや標準モニターのモード変更などもできる。
マシンコントロールのスイッチ
トリンブルのコントロールボックスにUSBで設計データを読み込ませれば、施工準備が整う。オートボタンは、左手にあり、スイッチオンで油圧制御が始まる。マシンコントロール中は、常にエンジン回転を最大にしておく必要があるという。
 モニターで設計データの法面を見ながら、ブームとアームを動かすと、設計面にバケット刃先があたった瞬間に「シュシュシュ」という微かな音がして、それ以上刃先が進まないように油圧制御が効いてくる。
設計データと同じ法面ができる
バケット角保持モードをオンにして、法面の上部からバケットを引き下ろすと、背面角度を一定に保ったまま、法面を切り出すことができる。記者の運転スキルは熟練とはほど遠いため、マシンコントロールを使わずに法面整形すると、面がどうしても弧を描いてしまう。運転席から見て正しいと感じた法面の形と、建機を降りて横から確認した形は、どうしても変わってしまうのだ。
MCもMGも使わずに記者が作った法面
キャビンからはまっすぐ見えても、弧を描いている
一方で、マシンコントロールで切り出した法面は、当たり前だが設計データどおりの角度で切られている。マシンコントロールを使えば、熟練者なみの施工ができるというのは、まさにこうした点だ。
 従来型の施工では、測量して丁張りを設置し、建機を降りて出来型を確認・検測、修正という流れが必要で、補助作業員も必要だが、マシンコントロールを使えば、オペレーターが丁張りなしで施工できる。溝掘りなども、掘りすぎがないので、かなり効率的な施工ができると実感した。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)


 日立建機は、国土交通省が進めるi-Construction(アイ・コンストラクション)への対応として、測量機器メーカーなど約20社のパートナー企業の技術を活用し、最適なソリューションを顧客の要望に応じて提供する取り組みを加速する。3日には、その一翼を担う初の「日立建機ICTデモサイト」を茨城県ひたちなか市に開設。敷地面積約1万4000㎡は国内最大級の規模となる。講習などを通じてi-Conへの理解を深め、「同社製品のみならずパートナー企業の最新技術やソフトウェアも取りそろえることで、情報化施工や(さまざまなパートナーの)ソリューションを体感してもらう」(辻本雄一社長)。
(2016年10月4日 建設通信新聞)


 同日に開いた開所式で辻本社長は「この地に開設できたことに心から感謝したい。今後は講習・研修施設として建設企業や国土交通省、自治体、パートナー企業などにもご活用いただきたい」と述べた。
 続いて来賓として橋本昌茨城県知事、梶山弘志衆議院議員のほか、森昌文国交省技監が「(施策を)リードしていただくためのデモサイト開設は非常に心強い。ここでの活動を通じてi-Con施策がますます広がり、その研究開発が一層飛躍することを大きく期待している」と祝辞を寄せた。
 テープカットした後=写真、国交省や地元の建設業協会、パートナー企業らを招き、バックホウマシンコントロール、UAV(無人航空機)測量・クラウド・3Dデータ作成、レーザースキャナー・TS測量、高精度位置情報データ配信、ローラー締固め管理、荷重判定装置、安全視認支援装置などのデモンストレーションを行った後、同社の住岡浩二副社長が「きょうはまだスタートだが、バケット角度保持モードなどの独自技術だけでなく、パートナー企業の支えを生かしてユーザーの望むことをタイムリーに提供できる企業を目指す」と締めくくった。
 「日立建機ICTデモサイト」(同市新光町106-1)は、ガラス張りの研修棟室内から工事現場を再現したデモエリアが見えるため、稼働状況を確認できる。4つのモニターを配することで、居ながらにして作業内容やオペレーション内容のリアルタイム把握を可能にした。また、ICT建機の試乗もできる。講習の受け付けなど運営の窓口は日立建機日本が担当し、年間来場者数は1000人を見込む。将来的には土木にとどまらず、建築、採石、林業、鉄鋼などさまざまな業種への“水平展開"も視野に入れているという。
 ビジネスパートナー企業と位置付けるのは、エウレカ、オートデスク、建設システム、国際航業、ジェノバ、テラドローン、トプコン、ニコン・トリンブル、日立ソリューションズ、日立システムズ、福井コンピュータ、ライカジオシステムズなど。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)


 国土交通省は、i-Construction(アイ・コンストラクション)の推進に向けて、 「i-Construction推進コンソーシアム」を設置する。産学官が連携し、 最新技術の導入やビッグデータの利活用を推進することで、 生産性の向上を促進する。10-11月に準備会を設置し、コンソーシアムは年内にも設立する予定だ。
(2016年9月29日付 建設通信新聞)