ICT活用工事で必要な3次元起工測量と出来形管理といえば、空中写真測量を採用するケースが多い。UAVなどを使って空中から写真を撮影し、パノラマ写真から3次元の点群を生成するのが空中写真測量の原理だ。
 また3次元測量のもう一つの方法としては、レーザースキャナー(LS)を使用する方法がある。こちらは「レーザースキャナーを用いた出来形管理」の要領案で規定されているが、この原理は、レーザー光を計測対象に照射して、反射光の距離と角度をつかって3次元座標を計測する。
 レーザーは、トータルステーション(TS)でも使用しているが、そのほか地上形レーザースキャナー、モービルマッピングシステム(MMS)、航空レーザー測量などに応用されている。
 地上形LSは、レーザーを水平・垂直方向に360度回転して照射するので、スキャナーの全周にわたって座標を取得できる。ただスキャナーの設置位置が基準になるので、広い現場を計測する場合は本体を盛り変えて計測し、後で座標を合わせながら点群を結合(レジストレーション)する必要がある。
 LSでは、計測機が地表に固定されているが、空中写真測量は、UAV等を使うため計測機自体が動く。LSの利点としては、固定された座標から距離と角度を実測するという点で、写真測量よりも正確性が高いといえる。

◇必要な機器

LSによる出来形管理の流れ

 LSの出来形管理要領で必要とされている機器構成は、LS本体、点群処理ソフトウェア、3次元設計データ作成ソフト、出来形帳票作成ソフト、出来形算出ソフトとされている。
 LS本体は、測定精度がプラスマイナス20mm以内、点群に色データがあること、精度管理に関する資料も提出が必要だ。
 具体的なソフトについては、点群処理ソフトウェア、出来形帳票作成ソフト、出来形算出ソフトは、福井コンピュータの例では「TREND-POINT」が該当する。このソフトではバージョン4から、帳票作成機能がついた。ほかのメーカーでは、「Trimble RealWorks」(ニコン・トリンブル)、「Image MASTER UAS」(トプコン)などが発売されている。
 一方で3次元設計データ作成ソフトは、EX-TREND武蔵(福井コンピュータ)、Buisiness Center(ニコン・トリンブル)、3D-Office(トプコン)などがある。

◇監督検査での留意点

標定点の例

 レーザースキャナーを用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)は、監督、検査職員向けの規定を解説しているが、管理の流れとして施工計画段階での3次元化の指示、施工者が作成した3次元設計データの確認、出来形数量算出結果の確認、出来形計測状況の把握、書面・実地検査などが、要領のポイントになっている。
 従来からのTS出来形管理と異なるのは、(1)工事基準点だけでなく「標定点」の測量結果(2)3次元データ設計のチェックシート(3)精度確認試験結果報告書(4)LS用の出来形管理図表をそれぞれ確認する点だ。加えて、実地検査の際にTSを使って3次元の設計面と実測値の標高差が規格値に収まっているかを検査する。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

 今回は、焦点距離と画角の関係について見てみたい。焦点距離は、光学的なレンズの中心から、フィルムやイメージセンサーまでの距離のことを言う。この距離が長いと望遠レンズとなり、短いと広角レンズとなる。カメラの世界では、焦点距離=画角と同義のとらえ方をしている。
 画角は、空中写真測量でいうと、現場のどれくらいの範囲を1枚の撮影でカバーできるかということになる。現時点での空中写真測量による出来形計測で、撮影ラップ率は、進行方向に90%以上、隣接コースとのラップ率は60%以上と決められている。画角を広くとれれば、事実上、撮影効率はアップする。
 今回、ズームレンズを使って焦点距離を変えながらスケールを撮影した。使用したカメラは、センサーが4256×2832画素(35mmフルサイズ)、前回と同じ条件の距離10mから50cmスケールを撮影したところ、24mmで150画素(1cm当たり3画素)、50mmで305画素(1cm当たり6.1画素)、70mmで422画素(1cm当たり8.4画素)となった。
 おおざっぱだが、24mmなら30m、50mmなら61m、70mmなら84mの距離まで要領を満足できる計算だ。(ただ撮影高度については、「対地高度50m程度」とされていることには留意したい)。
 3通りの焦点距離と高度から、写る範囲(画角)を計算で求めてみた。
 焦点距離24mm、高度30mで写る範囲は、横方向102m、縦方向40mになる。
 一方、焦点距離50mm・高度61mでは、横50m・縦31mなのに対し、焦点距離70mm・高度84mでは、横46m・縦30mとそれほど変わらない。
 このように焦点距離から撮像範囲を求めることができるので、UAVなどにカメラを取り付けて空中写真測量を行い、3次元座標点を算出する場合は、焦点距離について計算すると、飛行ルートを自分で設定することも不可能ではない。

◇センサーで焦点距離は変わる

フルサイズとAPS-Cの映像素子の比較

 焦点距離で気をつけなければならないのは、あくまでフィルムやセンサーの面積が35mmサイズの場合で計算しているということだ。ハイエンドの一眼レフデジカメでは、「フルサイズ(36×24mm)」というCMOSセンサーが使われていて、銀塩写真のフィルムとほぼ同じ面積のイメージセンサーなので、焦点距離も銀塩写真と同じに捉えてよい。
 しかし、CMOSセンサーの規格には、APS-CやCXフォーマットなど、フルサイズより小さな大きさがある。これはコンパクトデジカメなどに使われており、APS-C(16.7×23.4mm)のセンサーの面積はフルサイズの半分以下だ。
 当然、面積に応じて画素数も少ないので、フルサイズと同じ焦点距離でも、撮影範囲は小さくなる。また実際の焦点距離は、フルサイズより短くなる。デジカメの説明書には「35mm換算焦点距離」という記載があり、写真測量に使うカメラを購入した時は、この点のチェックが重要になる。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 

 国土交通省は、i-Construction(アイ・コンストラクション)のトップランナー施策「土工へのICT(情報通信技術)の全面的な活用(ICT土工)」の普及を目的に、取り組み事例集『i-Constructionの取組状況(ICT土工事例集)Ver.1』を作成した。
 事例集として、普及が進む直轄工事や、先進的に取り組んでいる自治体発注工事を紹介。「UAV(無人航空機、ドローン)の使用によって起工測量の日数が短縮できた」「従来よりも少ない人員で対応することができた」「マシンコントロールによって(手元だけに集中することなく)周囲の安全確認に注意を払うことができる」など、実際に工事を施工している建設企業の“現場の声"を交えながら、その取り組み効果を解説している。
 事例の1つである「多伎朝山道路小田地区改良第12工事」(島根県出雲市)は、ICT土工に対応できる技術者の育成に力を入れているカナツ技建工業(元請け)が地域の測量会社や建設コンサルタント、システム会社と連携して、3次元設計データの作成からICT施工まで一連の作業を主体的にこなすなど、そのノウハウの習得に励んだ好事例。作業人員、作業日数が従来との比較でともに4分の1に縮減するなど、まさに建設現場の“生産性革命"につながっている。
 また、ICT活用工事の流れとして、発注者と受注者それぞれの担当者などが行うべき事項を「発注段階」「機器・ソフトウェアなどの準備段階」「施工計画・準備段階」「施工段階」「出来形管理段階」「変更段階」「完成段階」「検査段階」に至る各フェーズに沿って分かりやすく記載。
 全体の流れだけでなく、各段階での書類の様式や記入例なども掲載している。
 事例集は、1日の北陸ブロックを皮切りに、全国8ブロックで開催している2016年度の秋季「地方ブロック土木部長等会議」で配布する一方、7日からホームページでも公開している。
 受発注者の双方にとってICT土工のメリットや理解の促進、取り組みへの機運醸成につながるものになりそうだ。


 ICT活用工事に必要な3次元起工測量と出来形管理計測。最近はドローンなどのUAV(無人航空機)を使って現場上空から写真を撮影し、デジタル写真測量で3次元データをつくる方法が多くなっている。
 こうしたUAV空中写真測量は、(1)工事前のデータと設計データを比較して施工数量を確認したり、(2)工事前後で施工数量(出来高)を計算したり、(3)工事後のデータと設計データを比べて施工精度(出来形)を確認する方法としてi-Constructionでも管理要領が作られている。
 今回は、いったいどんなカメラを使って、空中写真を撮影すればいいのかを掘り下げてみたい。
 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理の監督・検査要領では、デジカメの条件として、(1)計測性能は地上画素寸法が、出来形管理目的の計測の場合、1画素あたり1cm以内(2)測定精度はプラスマイナス5cm以内--と定められている。基本的には、高度は一定で、50m程度で撮影することになっている。

◇1画素1㎝とは

 1画素あたり1cmとは、どのような意味だろうか。写真1を見ていただきたい。この写真はCMOSセンサーサイズが35mmの一眼レフデジカメを使い、レーザー距離計できちんと計測した距離10mから撮影した画像だ。
(写真1) 画面中央に50㎝スケールを置いている

 撮影データは、イメージの大きさが横4256画素×高さ2832画素。焦点距離24mm、絞り5.6、シャッタースピード125分の1、ISO感度400だ。
 この写真に映っている幅50cmのスケールを拡大すると、写真2になる。
(写真2)中央のスケールを拡大した

 画素は、フォトショップなどの画像処理ソフトで写真を開き、水平や垂直をとったスケールをトリミングしてから、「画像解像度」を確認するとわかる。
 スケールの画素数を数えてみると、50cmの幅に152画素あった。1cmあたり3画素あるため、要領の3倍ほどの密度があるのでクリアできる。また1画素あたり1cmの規定ならば、30m離れてもクリアできることになる。

 このカメラであれば、UAVに搭載しても高度30mから撮影することができる。
 写真3は、一般的なコンパクトデジカメで同じものを同じ距離で撮影した。撮影データは、イメージの大きさが横2816画素×高さ2112画素。焦点距離25mm、絞り5.6、シャッタースピード60分の1、ISO感度200。
(写真3)コンパクトデジカメで撮影したスケール

 コンパクトデジカメなので、やはり画像が粗く、同じスケールを拡大すると、50cm幅に108画素となった。この場合は1cmあたり2画素となるので、UAVに搭載した場合は高度20mまでしか撮ることができない。
(写真4)コンパクトデジカメだと画像が荒いことがわかる

 実際に現場で使用する場合も、距離をきちんと測ってスケールを撮影し、画像処理ソフトで拡大して画素を確認すれば、要領に合致している写真が撮影できるかを判断できる。あらかじめ飛行高度がわかっていれば、その距離に合わせて撮影すれば、より判断しやすい。
(この解説は、現在の管理要領に基づいて解説しています)

 前回まで、油圧ショベルのICT建機化を取り扱ってきたが、今回はブルドーザーに3次元マシンコントロール(3DMC)システムを取り付ける。使用するブルドーザーは、キャタピラーのD3Kという機種だ。GNSSではなくトータルステーション(TS)による座標指示で施工できるようにする。アクティオの協力で行った。

◇ハードの取り付け

TSターゲットを取り付けるマスト

 ブルドーザーは、油圧ショベルに比べて可動部分が少ないので、設定は比較的簡単だ。今回もニコン・トリンブルのシステムを使用する。
 まず、排土板(ブレード)背面にTSターゲットを取り付けるためのマスト(EM400)を取り付ける。システムは、ブレードの勾配とピッチを計測する2つのセンサー、コントロールボックス、バルブモジュール、無線機などで構成されている。
ブレード裏にあるセンサー
このセンサーでスロープを検知する

 ハードのセッティングは、建機に対してブラケットやマウンティングプレートの溶接が必要だが、例えばキャタピラーなどではメーカーが出荷時にそうした作業を行っている機種がある。そうした機種であれば、各種機器類のハーネスなどを接続してセッティングは数時間で終わる。

◇建機の数値を設定

 ハードの装着後は、コントロールボックスで「建機の設定」を行う。設定は、ブルドーザーのモデル、マストの位置、無線機、ブレードタイプ、バルブモジュールなどを指定したあと、建機の寸法を測ってシステムに入力する。
 建機の寸法は、ブレードの刃のボルトを基準に、マストの高さ、奥へのオフセット、ブレードの幅、高さ、刃の切削端を計測して、ミリ単位で入力する。また建機の全長、本体から刃の先端までの距離を測って入力する。
ブレードの数値を計測
マストの高さも測る
数値入力が終わると、実際にブレードを動かしてセンサーの数値が変わるかを確認する。
 その後、トータルステーション(TS)との無線通信を設定する。「接続設定」というメニューで、無線機のチャンネルとネットワークIDを指定し、電源を入れたTSとの通信が確認できればOKだ。
 こうしてセットアップが終わると、キャリブレーションという作業を行う。まずセンサーについて、マストを垂直にした状態で、キャリブレートというボタンを押すと、センサーと通信して自動的に行われる。
バルブをキャリブレーション

 また、3DMCでは油圧バルブも自動で制御されるため、「バルブキャリブレーション」も行う。エンジンをかけた状態でリフト、チルトともにメニューから選ぶだけで、約10分間かけてシステムが自動的にバルブの調整をしてくれる。あとは設計データを読み込ませれば、3DMCでの施工がスタートできる。
 実際にブルドーザーに乗り込んでから行うのは、TSとの連携だ。工事基準点や後方交会法で任意点に設置したTSとターゲットIDを合わせて通信を始める。
コントロールボックスを設定

 TSはブルドーザーのマシンターゲットを自動追尾して、位置情報をブルに送る。オペレーターが左手レバーに付いているAUTOボタンを押せば、コントロールボックスが格納されている3次元設計データと照合しながら、ブレードを設計面に合わせて自動でコントロールしてくれる。
TSと連携させた

 アクティオのヤードで行った講習会では、初心者である記者や参加した女性でも簡単に、3DMCによるブルドーザー施工ができることを実証した。