国土交通省はi-Construction推進のために、ICT建機や3次元設計データ、施工機械の稼働状況といった工事にかかわる情報のフル活用について検討を進めている。現場施工時には、敷地や機械台数などでさまざまな制約条件が生じるが、ICTで得られる情報をうまく活用して最適な現場マネジメントを行い、全体で生産性を向上させるのがねらいだ。今回、国土技術政策総合研究所が「ICT施工の工事進捗マネジメントに関する調査整理業務」として、茨城県土浦市の直轄河川工事現場で取り組んでいる事例を紹介する。
ICTを現場に導入して約8年。11日に国土交通省が発表した1回目の「i-Construction大賞」で国土交通大臣賞を受賞した。ICT土工の第1号工事として延べ800人の見学者を受け入れるなどICT土工の有用性を広めた点も評価され、「いろいろな方から教わったり力をいただいた結果」と語る。「これで終わりではないという気持ちを持ち続けて努力する」と、さらなる生産性、安全性、品質の向上に意欲を燃やす。

 国土交通省は11日、2017年度『i-Construction大賞』の受賞者を発表した。最優秀賞となる「国土交通大臣賞」の受賞者は、砂子組(北海道)とカナツ技建工業(島根県)に決定した。年明けに表彰式を開く。
 北海道開発局が発注した「道央圏連絡道路千歳市泉郷改良工事」を施工した砂子組は、社内に専門部署「ICT施工推進室」を設置した。ICT施工に関する準備を専門部署に一元化することで、現場へのバックアップ体制を強化。スムーズなICT対応を実現した。
 ICT土工の第1号工事として多くの見学会や取材にも対応。ICT土工の有用性を広めた点も高く評価された。
 一方、中国地方整備局の「多伎朝山道路小田地区改良第12工事」を担当したカナツ技建工業は、地元の測量業者や測量機器メーカー、関連ソフトのメーカーで構成するプロジェクトチーム“i-Con etc隊(アイコン エトセトラ隊)"を編成。元請けを中心に地元業界の力を結集してICTの活用に力を入れている点が評価された。
 若手技術者を対象にした研修や女性技術者向けの講習会など、ICTに対応できる技術者の育成に積極的に取り組んでいる点も高く評価された。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
UAVやレーザースキャナ(LS)などを使って起工測量を行った場合、工事区域の点群やTINデータは作成できるが、現場周辺の地形などが必要な場合、国土地理院が提供する基盤地図情報(数値標高モデル、DEM)を取り込み、メッシュ地形モデルを作成することができる。今回は、実際に地理院の基盤地図情報ダウンロードサービスサイトから、LandXMLでデータを取得し、福井コンピュータのトレンドポイントでデータ化してみる。

◇DSMとDEMの違い

 基盤地図情報は、基本的に国土地理院が航空レーザー測量で取得したもので、航空レーザ測量からはオリジナルデータ、グラウンドデータ、メッシュデータ、オルソ画像といったデータが取得できる。
 オリジナルデータは、DSM(Digital Surface Model)と呼ばれ、航空機から発射されたレーザーのオリジナル数値が入っている。これには地表面だけでなく、樹木や建物といった高さ情報も入っている。
 一方で地盤の高さだけが必要な場合、DSMから樹木などの高さを取り除くフィルタリングを行うと、地盤面の高さだけが残る。これがDEM(Digital Elevation Model)と呼ばれる。
 サイトで手に入るDEMデータは、地表面を等間隔の正方形に区切り、それぞれの正方形に中心点の標高値を持たせたデータだ。

◇つくってみよう

国土地理院の基盤地図情報ダウンロードサービス
国土地理院の基盤地図情報ダウンロードサービス(https://fgd.gsi.go.jp/download/menu.php)は、商業利用も可能なサービスで、利用規約を守れば自由に利用できる。
 利用にはIDとパスワードが必要だが、登録はサイトから簡単に可能だ。サイトからは、基盤地図情報の基本項目、数値標高モデル、ジオイドモデルが入手できる。
 サービスに入ると、日本全国の地図が表示され、縮尺の変更や市町村の選択ができる。作成したい地域を探して指定する。今回は、富士市のDEMからTINデータを作成してみる。
 サイトで必要なエリアを選択して、当該地域のXMLファイルをダウンロードする。
 ファイルが手に入ったら、トレンドポイントを起動し、新規プロジェクトとして測量座標系でプロジェクトを作成する。
 次にファイルメニューから、「基盤地図(標高)」という読み込みメニューボタンを押して、先ほどダウンロードしてきたXMLファイルが入っているフォルダを開き、該当するXMLファイルをすべて選択して開く。
 すると平面直角座標系を聞いてくるので、今回は静岡県の「8系」を指定する。すると数秒でDEMの点群が平面直角座標で読み込まれる。5mメッシュで富士市の市街地がきれいに読み込まれた。
読み込まれたデータ

◇説明会用資料にも

 現在の表示だと、すべての点群が白いままなので、ここで高さ情報に色を付けてみる。表示メニューから点群表示色を「標高段彩」と指定し、色づけのレンジを高さマイナス2mから20mの範囲に絞ると、図のように高さが一目で判別できるようになった。
 次は、点群から不等辺三角形網(TIN)を作成する。三角網メニューから外周線を自動作成し、その外周線内の点についてTINを張る。これは外周線を指定してボタンを押すだけだ。図のようにきれいに面が作成されたことがわかる。
 完成したモデルは、ぐるぐると動かせるので、現場の起工測量データや設計データをこのモデルに重ねて、説明会や協議用の資料としても生かすことができる。
(田中一博)
点群に色を付けた
TINで面を作成した

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 今回は、UAVの写真測量から作成した現況の点群データと、自分で作成した3次元設計データを元に施工数量を算出する。まず、トレンドポイント(点群処理ソフト)で、現況の点群データをテキストやcsv形式で読み込ませる。次に武蔵で作成した3次元設計データをLandXML形式で三角網として読み込む。
 また工事基準点などの座標情報をSIMA形式のファイルで入れる。トレンドポイントは、テキストやcsvで座標点群を読み込ませると、点名が表示されないが、SIMA形式で入れると点名もきちんと表示する。

◇土量計算方式

 土量の数量算出方法は、平成28年度土木工事数量算出要領(案)で、(1)点高法(メッシュ法)(2)TIN分割法(3)プリズモイダル法の3方式が定められている。
 点高法は、現況地形や出来形計測結果などからなる2つの面データに重ね合わせたメッシュ(等間隔)交点で標高を算出し、標高差にメッシュ間隔の面積を乗じたものを総和する。メッシュ間隔は50cm以内だ。
 TIN分割法は、それぞれのデータからTINデータを作成し、ある一定の標高値で、DL面(標高基準面)を設定し、各TINの水平投影面積と、TINを構成する各点からDL面までの高低差の平均(平均高低差)を乗じた体積を総和する。
 プリズモイダル法は、2つのTINデータを互いに投影して、ラインが交差する部分で新しいTINラインをつくって、再び面をつくり、三角形水平面積と高低差を乗じた体積を総和する。

◇実際に測定

メッシュ法で測定する
今回は(1)のメッシュ法で実施してみる。
 「メッシュ領域の作成」からTINを選択すると、外周線が自動で選択されるので、外周線を選択した後、モデルが一番大きくなる角度でメッシュを決める。
 メッシュで生成する立方体の高さを、どの点群の高さから取るかを決めるため、逆距離加重法、最近隣法、平均法から選択する。
 格子サイズは、土量計算では1、2mでよい。ただ、工事の費用的なことを重視するなら、メッシュは細かい方がいいかもしれない。
 設定項目を入力したら「作成」というボタンを押すだけで計算が始まり、現況地形と設計データとの差を表示してくれる。メッシュ法による計算結果は、盛土量が5万9759m3、切土量が1993m3となった。差し引きで5万7765m3が、この工事での土量となる。

三角網による土量計算
次に三角網による土量計算も行ってみる。まずUAVで生成した点群からTINによる面をつくる。点群データに自動で外周線を作成し、起工測量用に0.25㎡あたり1点の密度を指定してTINを作成する。その後、3次元設計データのTINとの差分から体積を計算する。
 こちらは、メッシュを作成せず、設計データのTINの体積から求めるため、結果は、盛土量が5万9792m3、切土量が2040m3となった。差し引きで5万7752m3。計算後は、エクセルで開けるcsvで出力できる。(田中一博)

ベントレー・システムズ社の「Context Capture」は、空中写真から点群やモデルを生成するソフトウェアだ。今回は同社から、ソフトの評価版提供を受け、MAVICで撮影した実際の空撮写真使って点群生成する。
 ソフトを起動し、新しいプロジェクトを作成する。今回は、秩父にある日本キャタピラーの「D-Tech Center」を空撮したデータを利用する。
 まずソフトに空撮写真を読み込ませる。
 今回は112枚の空撮写真が入ったフォルダを指定し、シフトキーを押しながらすべての写真を選択、読み込ませた。

今回の実践ICT土工では、実際の図面を使って3次元設計データを作成する。発注図面として作成された平面図と横断図を、福井コンピュータ「武蔵」の建設CADにドラッグして読み込ませる。3次元設計データの作成については、以前もこの連載で取り上げているため、サンプルファイルを使用した前回と異なり、実際の図面を扱った時に気をつける点を書いていく。
 CAD発注図面のsfcファイルを開くと、左側にレイヤが多数現れる。これは、電子納品で提出する図面に定められている。
 国交省がとりまとめたCAD製図基準(案)によると、外枠(TTL)、現況地物(BGD)、基準線(BMK)、主構造物線(STR)など、図面に書き込まれている対象によって内容や色が細かく規定されている。
 図面を開いたら、はじめに図面照査を行う。これは座標系や縮尺がきちんとあっているか、設計要素や距離・勾配がきちんとしているかを確認する。
レイヤー構造は決められている

前回に引き続き「実践ICT土工」をお休みし、日本キャタピラーの「コンパクトトラックローダー(259D)」を使った現況測量を取り上げる。このトラックローダーは、全長3.5mほどのコンパクトなデザインの建機で、狭い場所でも施工しやすいのが特徴。同社はこのローダーに360度プリズムを取り付け、トータルステーション(TS)で連続的に座標を観測して、現況測量を行う手法を研究している。先日、秩父にある同社の「D-Tech Center」で、実際の建機を使用した計測実験が行われた。その模様をリポートする。

◇ローダーにプリズム搭載

 同社はこれまでにも、大型のラジコンカーなどにプリズムを取り付けて出来形などを測量する研究を行っているが、今回は履帯付きのローダーでもスムーズに測量できるかを研究した。
大型のラジコンカーなどにプリズムを取り付け計測

 ローダーの乗り降りは前から行う。前面にはバケットが付いており、ブルドーザーのような間隔で操縦する建機だ。
 実験では、ローダーの屋根部分に測量用の360度プリズムをネジ止めし、地表面からの高さを計測する。TSのデータコレクタに高さとプリズム定数を設定し、連続計測モードで、ミラーが2.5m移動するごとに観測する設定を行った。

 試験は、ヤードに5m×15mの試験範囲を決め、あらかじめ後方交会設置したTSを使って、手作業で3次元座標を計測しておく。縦方向に約2.5m、横方向に約1.5mで計測した。これを正解データとして記録する。
 実際に試験範囲をローダーで走行し、正解データに近い間隔で座標を取得した。走行にかかった時間は数分で、手計測による観測よりもはるかに速いスピードで完了した。

◇計測誤差はプラスマイナス2cm

 走行後には、TSのデータコレクタからCSV形式でデータを取り出し、点群処理ソフトのトレンドポイントで、正解データとローダー計測データを比較検証した。
 まず人力で計測した正解データの測点を点群として読み込ませ、TINメッシュを作成する。次にローダーで計測したデータから同様にTINメッシュを作成し、比較プロジェクトとしてメッシュ比較した。
トレンドポイントで比較した

 トラックで観測したデータと、TSによる計測データは、50cmメッシュ、4点平均標高法で計算し、最大標高差がプラス1cmからマイナス3cmで、プラスマイナス2cmの範囲に収まった。
 同社では、このコンパクトトラックローダーが、小型で小回りが利き公道走行も可能なことから、広範囲な現況測量に活用していく考えだ。(田中一博)

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今回は「実践ICT土工」をお休みして、UAVによる空中写真測量の実践編を行う。連載61回目に紹介した、やんちゃな土木ネットワーク(YDN、事務局・正治組)が開発したi-Construction支援ドローン自動航行アプリ「Drone-ize×YDN PRO」(3万4800円)を使って、実際の空中写真測量を行ってみる。今回は日本キャタピラーのご協力をいただき、埼玉県秩父市にある「D-Tech Center」をお借りして、正治組の大矢洋平土木部部長らと一緒に現況計測を行う。
日本キャタピラーのD-Tech Center

◇本当に設定が簡単

 今回使用するUAVは、DJI社のMAVIC PROだ。わずか12万円程度で購入できる機体ながら、30分間の飛行が可能で、搭載しているカメラもi-Conで定められている画素基準を満足できる。重量も1㎏を切っており、持ち運びも簡単だ。
 自分の持っているi-Phoneに、Drone-izeアプリをインストールし、MAVICと接続設定する。アプリからMAVICを選んで、アプリに表示される地図上で、計測したい範囲をタップして囲むだけで、自動的にi-Conに対応した解像度やシャッター間隔、撮影写真のラップ率が自動設定される。これで設定は完了。はっきり言って、ほとんどやることがない。
 すると総飛行距離、撮影範囲面積、飛行時間、撮影枚数が計算される。今回は、飛行距離500m、飛行時間3分45秒、112枚の写真を撮影するようだ。
Drone-izeアプリで飛行ルートを設定

◇標定点を設置、撮影

 次にトータルステーションを後方交会法で、ヤードにある小山の上に任意点設置した。このセンターには、いくつか既設の基準点が置いてあるので、数分で設置が完了した。
 撮影した写真を、後ほどフォトスキャンを使って点群化するが、あらかじめフォトスキャンのソフトから標定点を印刷するためのPDFを出力しておく。今回は、このファイルを一般的な複合機からA3で印刷したものを、10枚ヤードに石で固定した。
 標定点を撒いたら、測量用のミラーでTSから3次元座標を計測する。今回は10点を計測するのに約15分ほどかかった。
 いよいよMAVICを飛ばす。今回はD-Tech Centerの女性職員の方に、操作をお任せした。コントローラーにi-Phoneを取り付けて、飛行ボタンを押すだけで、MAVICは自動的に測量開始点まで飛行し撮影を始める。
 当日は台風一過で約5m程度の風が吹いていたが、MAVICは約4分で撮影を終えて無事に帰還した。

◇フォトスキャンで点群

 撮影終了後は、MAVICからマイクロSDカードを取り出し、パソコンに写真をコピーする。カードには、普通のデジカメと同様にフォルダに写真が収まっている。
 フォトスキャンでは、平面直角座標9系を選択して、撮影した112枚の写真をドラッグするだけで大まかなモデルが生成される。あとはCSVで、10点の標定点座標を読み込ませて、写真に写り込んでいる標定点と合致させていく。高密度クラウドの生成を行うと、あっという間に写真のような点群ができあがってしまった。MAVICをケースから取り出して1時間半ほどで、空中写真測量が完了した。
 UAVやソフトの進展は想像以上に早い。これほど簡単に現況測量ができるようになっている。皆さんの現場でも、導入してはいかがだろうか? (田中一博)
あっというまに、点群が完成した

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トレンドポイントには、実に便利な「自動フィルタリング」という機能がある。これはノイズ、近傍点、地表面のフィルタリングを自動で行うもので、今回のデータに対して実施したところ、1300万点が286万点までフィルタリングしてくれた。
 福井コンピュータによると、この機能を使って起工測量データを作る会社もあるが、現場によって状況が異なるため、前回紹介したさまざまなフィルタリングの状況を把握してから使ってほしいと話している。
前回は、点群を選択して削除する方法を紹介したが、今回は「フィルタリング」で点群を処理してみる。
 フィルタリングにはさまざまな手法があるが、1つずつ解説する。まずは「均等間引きフィルタリング」だが、これはデータサイズを軽くするために行う。
 点群処理したデータは、最終的に点と点を結んだTINで面を作り、LandXML形式で出力する。起工測量データは面として扱い、3次元設計データと比較して土量計算や施工計画に反映するためだ。

 前回、フォトスキャンを使ってUAVの空撮写真から、起工測量用の点群を生成した。フォトスキャンから出力されたファイルはTXT形式で、点群はXYZ、RGBという順番で記述されている。データサイズは534メガバイト、点群の数は1300万点だった。このファイルを、今度は福井コンピュータの点群処理ソフト「TREND-POINT(トレンドポイント)」に読み込ませる。

 国土交通省は、建設現場に“生産性革命"をもたらすi-Constructionの普及に力を入れる。取り組みの1つとして、革新的なテクノロジーによって進化する建設現場を想起させる“シンボルマーク"を作成。建設現場の看板や仮囲い、作業員のヘルメットなどに使用することで、魅力的に変わる建設現場を業界の内外に広くアピールしていく方針だ。 注目されるデザインの最終決定は12月中旬を予定している。5日の「i-Construction推進コンソーシアム・企画委員会」(委員長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)に提示された9つのデザイン(案)の中から、コンソーシアムの会員によるアンケート(審査)で決定する。

 「近く訪れる業界変革を見据え、新しい時代を先取りするための投資として決断した」と、マルフジ後藤重建(静岡県掛川市)の後藤義隆代表は胸を張る。
 「エリアでナンバーワンに」という志のもと、建設現場に生産性革命をもたらすi-Constructionの考えにいち早く注目し、コベルコのホルナビ3Dマシンガイダンス(ホルナビ)機能搭載の通常型ショベル「SK350LC」や後方超小旋回ショベル「SK235SR」などを購入。ICT建機全般への積極投資を進めている。

 標定点と写真をひも付けする時に感じたことは、標定点の点名を地面に書く場合は、必ずあとから写真を点群化する人が点名を判別できるよう、きれいに書くことが大切であるということだ。
 6と9は、空中から見るとどちらなのか非常に判別しにくいし、基準点と標定点も数字が似通うため、KとかGなど標定点の判別要素を入れておいてほしい。


 「実践ICT土工」で最初の作業は、現況測量から始める。現場の起工段階で実際にUAVを飛行させて撮影した現場の航空写真を、インターネットからダウンロードした「PhotoScan Professional」のデモ版にドラッグして読み込ませる。
 このソフトは、実際に購入すると3499米ドル(約40万円)もする高価なものだ。デモ版は結果の保存こそできないが、実際の作業手順を学ぶなら十分に使える。
 点群生成ソフトウェアは、このほか代表的なものとしてPix4D社の「Pix4D mapper」、トプコンの「MAGNET Collage」などがある。ほかにもインターネット上のクラウドサービスも多数存在しており、価格や使用頻度を考えて自社でのソフト購入やサービスとしての購入を検討したい。



 この連載では、これまでにさまざまな題材を取り上げてきたが、今回からは実際に国土交通省の直轄工事として発注されたICT土工のデータを使い、写真測量から、3次元設計データ作成、施工計画、疑似ICT施工、出来形管理、補完計測、電子納品までのステップを実践してみる。
 連載にあたっては、ソフトウェアベンダーの福井コンピュータ、レンタル会社のアクティオ、カナモト、西尾レントオール、測器メーカーのニコン・トリンブルの協力を得て、各社からの社員を迎え、講習会形式での実践体験を行った。

 有志による建設業者の全国ネットワーク組織「やんちゃな土木ネットワーク(YDN、事務局・正治組〈静岡県伊豆の国市〉)」をご存じだろうか。この組織は「新技術は試したいが、初めの一歩が踏み出せない」という地域建設業の悩みを解決するために発足した。

 ニコン・トリンブル(東京都大田区、丹澤孝社長)が9月1日、i-Construction専門の商品販売・サポートを行う子会社「サイテック(SITECH)ジャパン」を設立した。サイテックは、トリンブル製品の世界的なディストリビューター(販売代理店)で、世界各国に販売網を持っている。今回、日本にもサイテックジャパンが誕生したことで、トリンブル製品の販売やサービス、現場トレーニングなどを専門に扱う会社が生まれた。同社は、1995年から2次元マシンコントロールのブルドーザーを発売、2007年に情報化施工の専門チームを立ち上げて以来、約10年かけての会社設立となった。


 日本道路建設業協会のワーキング「なでしこエンジニアの会」は、自分たちの学びの場としての活動に加えて、外部への講習活動にも協力している。自分たちが職場や会の活動として蓄えた知識を、施工業者や発注者に対しても広めている。

日本道路建設業協会のワーキングとして組織されている「なでしこエンジニアの会」。道路会社、レンタル、測器メーカー、建機メーカーの女性有志約30人が、i-Constructionや道路業界の発展を目指して運営している。今回は、この「なでしこ会」の活動に密着した。


 発注図面に記載されている主要な基準点座標は、ICT土工などの3次元設計データ作成時に欠かせない数値だ。ただ、手打ちで入力すると間違いが気になるし、なにより手間がかかる。そこで活躍するデータ形式が「SIMAフォーマット」だ。
 このデータ形式は、座標や路線データを電子データのままやりとりできるように定められた書式で、測量機器やCAD間で観測データの受け渡しなどに利用されている。
 また、点群処理ソフトやマシンコントロールデータを作成するソフトに、工事基準点や主要座標点などを点群として読み込ませる時も、SIMA形式のデータを使うと一括で読み込ませることができる。
 今回は、エクセルを使って自分でSIMAデータを作成し、点群処理ソフトに読み込ませてみる。

 前回、発注図面から作成した3次元設計データをマシンコントロール用に加工した。今回は、3D-Officeから出力した「作業法面.TP3」というファイルを、建機に搭載してみたい。
 ちなみに前回は、3次元設計データをLandXMLで出力してから、3D-Officeに読み込ませて、マシンデータをはき出したが、福井コンピュータの「EX-TREND武蔵」を持っているのであれば、建設CADから3次元設計データを作成した後、直接トプコンのTP3形式でデータを出力することも可能だということを追記しておく。


 以前、発注図面から3次元設計データを作成し、3次元マシンコントロール(MC)ブルドーザーや、3次元マシンガイダンス(MG)、MC油圧ショベルといったICT建機にデータを転送する記事を掲載した。その時に使用したソフトは、ニコン・トリンブルの情報化施工システムだったが、今回はトプコンのシステムで同じことを行ってみる。

◇3D-Office

自分で作成した3次元設計データを、福井コンピュータのTRENDPOINTで表示している

 まず発注図面から書き起こした3次元設計データを、福井コンピュータ製の「武蔵」などから、LandXML形式かDXF形式で、TINデータを書き出す。今回のケースでは、LandXML形式で、自分でデータ作成した法面の路線データとTINデータを書き出した。
 次に、トプコンが提供している3DMCソフトウェア「3D-Office」を立ち上げる。このソフトはマシンコントロール用のソフトウェアで、設計データを読み込んでマシンコントロールシステム向けにファイルを作成してくれる。また、単にマシン向けのファイル作成だけでなく、座標点取り込みや編集、TINや路線データの断面編集、3Dシミュレーション表示、レイヤーの追加、座標計算などもできる。またTINだけでなく、ポリラインの追加なども可能だ。
3D-Officeに読み込ませた(平面表示)

◇自分のデータに建機が

 「路線」メニューから「路線データの取り込み」そして「LandXMLファイルから」というメニューを選び、書き出したファイルを指定して読み込む。
 また「TIN」メニューから「TINデータの取り込み」「LandXMLファイルから」というメニューで面を読み込むと、図1のようになる。
 この段階で、「3Dシミュレーション表示」というメニューを選ぶと、作成した3次元設計データが立体で表示され、建機もそのデータ上に現れる。マウスで視点を動かせるので、現場にいるような感覚でデータをチェックできる。
3D-Officeで3次元表示を行った

 いよいよ読み込んだデータを、今回は「作業法面」と名前を付けて保存する。すると「作業法面.TP3」というファイルが作成される。このファイルをブルドーザーや油圧ショベルのコントロールボックスに移すと、マシンコントロールやガイダンスが建機で利用できるようになる。
 本来ならば、作業内容に合わせた形でデータを加工し、工程や進捗に合わせてデータを加工していくのだが、今回はとりあえず、建機のキャビンにこのデータを移すところに進みたい。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
前回、来年度からの準天頂衛星4機体制が、i-Constructionの現場に施工性向上をもたらすことを見てきたが、みちびきにはもう1つ大きな機能が実装されている。それが「センチメーター級測位補強サービス」通称CLAS(シーラス)である。RTK方式で必要だった基地局や、VRS方式で配信されている衛星補正情報に相当するものが、みちびき自体から放送されるという機能だ。(衛星画像出典:qzss.go.jp

◇補正情報を出すL6信号

 みちびきが出す信号はL1、L2、L5という米国GPSに準拠した信号を送り出す。これは、GPSと合わせて使うことを想定しているからだ。これに加えて、みちびきにはL6という信号が用意されている。
 L6信号は「センチメーター級測位補強サービス(CLAS)」という配信サービスに使われる。これは電子基準点で把握したGPSなどの衛星信号誤差から測位補強信号を計算して地上から準天頂衛星にアップリンクし、衛星経由で受信機側に補正情報を送るサービスだ。
 5機以上の衛星が見えれば、移動体で水平誤差12cm以下、垂直誤差24cm以下の精度が実現できる。
 内閣府ではこのサービスを、測量や情報化施工での利用を想定し、3~4級の基準点測量や写真測量の標定点測量などに利用できると広報している。また車載型の3次元測量であるMMS(モバイルマッピングシステム)への活用も想定している。
L6信号での配信サービスイメージ

◇PPP-RTK

 L6信号に乗せられたCLASは、精密単独測位(PPP)とも呼ばれている。電子基準点のデータをもとに補正情報を生成し、みちびきの管制局から追跡管制局経由で衛星に補正データをアップリンクし、L6信号で地上に放送する。
 RTKやVRS方式が、基地局と移動局の相対的な補正データとすると、CLASを利用した補正方式は基準点座標に依存しない補正方式とも言われる。
 測位誤差を、衛星軌道・時計、電離層遅延、対流圏遅延などに分離して補正を行う方式がSSR(State Space Representation)方式と呼ばれている。PPPは、この方式の中の1つで、衛星関連と、電離層・対流圏の誤差を補正し、マルチパスと衛星数などの測位者にかかわる誤差は受信機側で補正する。

◇VRSとの違い

 ではL6信号でCLASを利用すれば、基準局や衛星補正データが不要になるかというと、どうもそうではないようだ。
 CLASからの補正情報の配信は、約2万㎞離れている衛星経由となるため、10数秒のタイムラグが発生する。電離層が急激に変化する擾乱などの場合は、測位結果が乱れる場合もある。
 一方でVRSなどの地上型の配信サービスは、携帯電話回線などを使って1秒ごとに補正情報を流すため、遅延時間はそれほど影響しない。CLASを使って建機の刃先をコントロールする場合、遅延時間がどの程度出来形に影響するのか、今後のみちびきの運用開始を待つ必要があるだろう。(田中一博)
VRS方式での補正情報配信


建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
8月11日に打ち上げ予定が迫った準天頂衛星「みちびき3号機」。6月に打ち上げが成功したみちびき2号機に引き続き、日本独自の測位衛星が順調に軌道に乗せられていく。これを含め今年度はあと2機の打ち上げが予定されていて、年度内に念願の4機体制が整う見込みだ。このみちびきが、どのようにi-Constructionにかかわるのかを見てみたい。
(衛星画像の出典:qzss.go.jp)

◇衛星と誤差

 一般的なカーナビなどでは、数mの誤差があってもジャイロや道路地図などの情報と照らし合わせて位置を表示するため利用上問題はないが、GPSやみちびきなどの測位衛星を使って建機の刃先などの座標を把握するためには、数cm単位という座標精度が必要だ。
 ところが衛星からの信号には、衛星の時計(クロック)、軌道、電離層、対流圏、マルチパス(ビルなどに跳ね返った信号も拾ってしまうこと)といったさまざまな誤差が含まれている。こうした誤差を取り除かないと数cmオーダーの測位精度は出せない。
 そこで、現在GNSSを利用した情報化施工に使われる測位方式は、RTK方式とネットワークRTK方式のVRS、FKPといった方式を使っている。
VRS方式のイメージ

◇RTKとVRS方式

 RTK方式は、現場に基地局となるアンテナ・受信機を1台、建機に搭載する移動局としてアンテナ・受信機を1台の2台利用する。
 RTK方式では、動かない基地局を既に座標が分かっている工事基準点などに固定して、電離層や対流圏が原因で発生する伝送遅延誤差や衛星軌道誤差、衛星と受信機の時計の誤差を相殺して移動局の座標を数cm以内に抑える。
 一方、VRS方式は、国土地理院が全国に1300点整備している電子基準点で現場を囲み、現場近くに仮想的に基準局を設定して衛星の補正情報を作り、インターネット経由で移動局に送り、RTK方式の測位を確立する。
 アンテナ・受信機の価格は数百万円程度するので、VRS方式ではその数を減らして安価にRTK方式の測位ができる。補正情報は、ジェノバなどの補正情報配信会社と契約する。

◇みちびき4機体制
4機体制の衛星配置例(左が4機体制になった場合)
現場でGNSS測位を利用する時は、最低でも5機の衛星を常に受信できる環境が必要だ。測位衛星には、米国のGPS、ロシアのグロナス、中国の北斗(ベイドゥ)、欧州のガリレオなどがあるが、日本の緯度に合わせて打ち上げられたものではないので、5機以上を常に受信できるとは限らない。また都市部ではビルなどが多く、天頂付近に衛星が見えないと信号が受信できない。
 「みちびき」は、特殊な軌道を回らせることで、常に天頂付近に衛星が1機は配置されている状況を作り出す。常に自分の位置から衛星が止まって見える静止軌道を南北方向に傾けた「8の字軌道」で、日本からオーストラリアの上空を移動し、日本上空には約13時間留まっている。
 既に上がっている1、2号機と、今後打ち上げられる4号機は8の字軌道で、今回打ち上げの3号機は静止軌道に乗せられる。静止軌道1機と8の字軌道の3機の合計4機体制で、日本独自の測位システムはとりあえず完成する。政府は今後、2023年度をめどに7機体制の運用を始めるとしている。
 みちびきが18年度から運用開始すれば、i-Conの現場でも安定して衛星の信号を受けることができるようになり、施工性の向上が大いに期待できる。(つづく)

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
国土交通省は、生産性の向上に優れた成果を上げた直轄工事を対象に、その取り組みをたたえる『i-Construction大賞』を創設する。優良事例の普及で建設現場の“生産性革命"を加速させることが狙い。特に優秀な取り組みに贈る「国土交通大臣賞」(原則1件)と、それ以外の優秀な取り組みを表彰する「優秀賞」(最大で10件程度)で構成。10月に第1回の表彰を行う。 6日付で各地方整備局などに実施要領などの課長通知を発出した。

 対象は、同省が発注した直轄工事のうち、前年度に完成した工事を施工した企業・団体など。各地方整備局に候補となる工事と担当した企業などの推薦を求める。
 省内に技監を委員長に技術統括審議官、技術審議官、技術参事官、水管理・国土保全局長、道路局長、港湾局長を委員とする選考委員会を設置。応募書類(関係書類)の審査などによって、表彰する工事や企業を選ぶ。
 表彰制度の事務局は官房技術調査課。関連する事務や手続きは技術調査課と公共事業調査室が担う。

 受賞者の選出・表彰は年1回。例年7月に各地方整備局の優良工事表彰が行われていることから、その後に候補者の推薦や選考を実施。9-10月ごろに表彰する流れを想定している。
 各地方整備局による候補者の推薦は、別に定める運用方針に沿って実施する。事務局である技術調査課に推薦書や選定基準書、その他の添付書類といった関係書類の提出を求める。

 省力化や省人化といった工事の能率や品質の向上に関する工夫など、運用方針に定める審査項目を参考に選考委員会が総合的に判断。最優秀賞となる国土交通大臣賞と優秀賞を選定する。

 建設現場の“生産性革命"を先導してきた直轄工事におけるICT土工は、初年度である2016年度から年間1000件を超す対応型工事を発注。大半が施工者希望型での発注だけに、実際にICT建機などを使って実践したのは584件となっている。このうち、昨年度までに完成した工事が対象工事の中核になる見込み。

 総合評価落札方式での加点がある各地方整備局の優良工事表彰とも重複することから、発注工事における直接的なインセンティブはないが、優良事例を広く紹介することで、政策課題となっている生産性の向上に向けた取り組みの普及・浸透につなげていく。

日本建設機械施工協会(JCMA)の施工技術総合研究所(CMI)は、静岡県富士市の同研究所で、今年度から実施されるi-Constructionの「ICT活用工事(舗装)」について、実際の舗装工事を施工して要領に沿った管理を行う模擬実験を、6月30日まで3日間にわたって行った=写真。日本測量機器工業会も協力した。
実大の舗装工事を模擬施工して、出来形をTLSで計測する
実験には、測量機器メーカー、ソフトメーカー、建機レンタル、道路会社のほか、発注者である国土交通省、国土技術政策総合研究所も参加して、新しい舗装工事へのICT施工管理の手法について、活発な意見交換も行われた。
 今年度から取り入れられる舗装のICT活用工事は、昨年度から始まったICT土工に続く新たなi-Constructionの取り組み。出来形管理には、土工で使われるUAVは使わず、地上型レーザースキャナー(TLS)の活用が増加すると見られる。舗装の最終仕上げとなる表層は、管理値が4mmと非常に精度が高いためだ。
 実験はCMIのヤードに、曲線を含む約50mの舗装工事現場を用意し、発注図書も作成して、舗装工事受注者の実際の施工を再現した。
道路会社、測器メーカーや国、国総研、CMIの担当者らで課題などを討議した
路盤工と、砂で模擬したアスファルト舗装工を順番に施工し、起工計測から路盤、舗装の出来形をTLSで実際に計測、出来形管理帳票の出力までを行った。この実験で得られたデータや結果は、参加者で共有して、今後の製品開発や施工管理に生かしていく。