以前、発注図面から3次元設計データを作成し、3次元マシンコントロール(MC)ブルドーザーや、3次元マシンガイダンス(MG)、MC油圧ショベルといったICT建機にデータを転送する記事を掲載した。その時に使用したソフトは、ニコン・トリンブルの情報化施工システムだったが、今回はトプコンのシステムで同じことを行ってみる。

◇3D-Office

自分で作成した3次元設計データを、福井コンピュータのTRENDPOINTで表示している

 まず発注図面から書き起こした3次元設計データを、福井コンピュータ製の「武蔵」などから、LandXML形式かDXF形式で、TINデータを書き出す。今回のケースでは、LandXML形式で、自分でデータ作成した法面の路線データとTINデータを書き出した。
 次に、トプコンが提供している3DMCソフトウェア「3D-Office」を立ち上げる。このソフトはマシンコントロール用のソフトウェアで、設計データを読み込んでマシンコントロールシステム向けにファイルを作成してくれる。また、単にマシン向けのファイル作成だけでなく、座標点取り込みや編集、TINや路線データの断面編集、3Dシミュレーション表示、レイヤーの追加、座標計算などもできる。またTINだけでなく、ポリラインの追加なども可能だ。
3D-Officeに読み込ませた(平面表示)

◇自分のデータに建機が

 「路線」メニューから「路線データの取り込み」そして「LandXMLファイルから」というメニューを選び、書き出したファイルを指定して読み込む。
 また「TIN」メニューから「TINデータの取り込み」「LandXMLファイルから」というメニューで面を読み込むと、図1のようになる。
 この段階で、「3Dシミュレーション表示」というメニューを選ぶと、作成した3次元設計データが立体で表示され、建機もそのデータ上に現れる。マウスで視点を動かせるので、現場にいるような感覚でデータをチェックできる。
3D-Officeで3次元表示を行った

 いよいよ読み込んだデータを、今回は「作業法面」と名前を付けて保存する。すると「作業法面.TP3」というファイルが作成される。このファイルをブルドーザーや油圧ショベルのコントロールボックスに移すと、マシンコントロールやガイダンスが建機で利用できるようになる。
 本来ならば、作業内容に合わせた形でデータを加工し、工程や進捗に合わせてデータを加工していくのだが、今回はとりあえず、建機のキャビンにこのデータを移すところに進みたい。

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前回、来年度からの準天頂衛星4機体制が、i-Constructionの現場に施工性向上をもたらすことを見てきたが、みちびきにはもう1つ大きな機能が実装されている。それが「センチメーター級測位補強サービス」通称CLAS(シーラス)である。RTK方式で必要だった基地局や、VRS方式で配信されている衛星補正情報に相当するものが、みちびき自体から放送されるという機能だ。(衛星画像出典:qzss.go.jp

◇補正情報を出すL6信号

 みちびきが出す信号はL1、L2、L5という米国GPSに準拠した信号を送り出す。これは、GPSと合わせて使うことを想定しているからだ。これに加えて、みちびきにはL6という信号が用意されている。
 L6信号は「センチメーター級測位補強サービス(CLAS)」という配信サービスに使われる。これは電子基準点で把握したGPSなどの衛星信号誤差から測位補強信号を計算して地上から準天頂衛星にアップリンクし、衛星経由で受信機側に補正情報を送るサービスだ。
 5機以上の衛星が見えれば、移動体で水平誤差12cm以下、垂直誤差24cm以下の精度が実現できる。
 内閣府ではこのサービスを、測量や情報化施工での利用を想定し、3~4級の基準点測量や写真測量の標定点測量などに利用できると広報している。また車載型の3次元測量であるMMS(モバイルマッピングシステム)への活用も想定している。
L6信号での配信サービスイメージ

◇PPP-RTK

 L6信号に乗せられたCLASは、精密単独測位(PPP)とも呼ばれている。電子基準点のデータをもとに補正情報を生成し、みちびきの管制局から追跡管制局経由で衛星に補正データをアップリンクし、L6信号で地上に放送する。
 RTKやVRS方式が、基地局と移動局の相対的な補正データとすると、CLASを利用した補正方式は基準点座標に依存しない補正方式とも言われる。
 測位誤差を、衛星軌道・時計、電離層遅延、対流圏遅延などに分離して補正を行う方式がSSR(State Space Representation)方式と呼ばれている。PPPは、この方式の中の1つで、衛星関連と、電離層・対流圏の誤差を補正し、マルチパスと衛星数などの測位者にかかわる誤差は受信機側で補正する。

◇VRSとの違い

 ではL6信号でCLASを利用すれば、基準局や衛星補正データが不要になるかというと、どうもそうではないようだ。
 CLASからの補正情報の配信は、約2万㎞離れている衛星経由となるため、10数秒のタイムラグが発生する。電離層が急激に変化する擾乱などの場合は、測位結果が乱れる場合もある。
 一方でVRSなどの地上型の配信サービスは、携帯電話回線などを使って1秒ごとに補正情報を流すため、遅延時間はそれほど影響しない。CLASを使って建機の刃先をコントロールする場合、遅延時間がどの程度出来形に影響するのか、今後のみちびきの運用開始を待つ必要があるだろう。(田中一博)
VRS方式での補正情報配信


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8月11日に打ち上げ予定が迫った準天頂衛星「みちびき3号機」。6月に打ち上げが成功したみちびき2号機に引き続き、日本独自の測位衛星が順調に軌道に乗せられていく。これを含め今年度はあと2機の打ち上げが予定されていて、年度内に念願の4機体制が整う見込みだ。このみちびきが、どのようにi-Constructionにかかわるのかを見てみたい。
(衛星画像の出典:qzss.go.jp)

◇衛星と誤差

 一般的なカーナビなどでは、数mの誤差があってもジャイロや道路地図などの情報と照らし合わせて位置を表示するため利用上問題はないが、GPSやみちびきなどの測位衛星を使って建機の刃先などの座標を把握するためには、数cm単位という座標精度が必要だ。
 ところが衛星からの信号には、衛星の時計(クロック)、軌道、電離層、対流圏、マルチパス(ビルなどに跳ね返った信号も拾ってしまうこと)といったさまざまな誤差が含まれている。こうした誤差を取り除かないと数cmオーダーの測位精度は出せない。
 そこで、現在GNSSを利用した情報化施工に使われる測位方式は、RTK方式とネットワークRTK方式のVRS、FKPといった方式を使っている。
VRS方式のイメージ

◇RTKとVRS方式

 RTK方式は、現場に基地局となるアンテナ・受信機を1台、建機に搭載する移動局としてアンテナ・受信機を1台の2台利用する。
 RTK方式では、動かない基地局を既に座標が分かっている工事基準点などに固定して、電離層や対流圏が原因で発生する伝送遅延誤差や衛星軌道誤差、衛星と受信機の時計の誤差を相殺して移動局の座標を数cm以内に抑える。
 一方、VRS方式は、国土地理院が全国に1300点整備している電子基準点で現場を囲み、現場近くに仮想的に基準局を設定して衛星の補正情報を作り、インターネット経由で移動局に送り、RTK方式の測位を確立する。
 アンテナ・受信機の価格は数百万円程度するので、VRS方式ではその数を減らして安価にRTK方式の測位ができる。補正情報は、ジェノバなどの補正情報配信会社と契約する。

◇みちびき4機体制
4機体制の衛星配置例(左が4機体制になった場合)
現場でGNSS測位を利用する時は、最低でも5機の衛星を常に受信できる環境が必要だ。測位衛星には、米国のGPS、ロシアのグロナス、中国の北斗(ベイドゥ)、欧州のガリレオなどがあるが、日本の緯度に合わせて打ち上げられたものではないので、5機以上を常に受信できるとは限らない。また都市部ではビルなどが多く、天頂付近に衛星が見えないと信号が受信できない。
 「みちびき」は、特殊な軌道を回らせることで、常に天頂付近に衛星が1機は配置されている状況を作り出す。常に自分の位置から衛星が止まって見える静止軌道を南北方向に傾けた「8の字軌道」で、日本からオーストラリアの上空を移動し、日本上空には約13時間留まっている。
 既に上がっている1、2号機と、今後打ち上げられる4号機は8の字軌道で、今回打ち上げの3号機は静止軌道に乗せられる。静止軌道1機と8の字軌道の3機の合計4機体制で、日本独自の測位システムはとりあえず完成する。政府は今後、2023年度をめどに7機体制の運用を始めるとしている。
 みちびきが18年度から運用開始すれば、i-Conの現場でも安定して衛星の信号を受けることができるようになり、施工性の向上が大いに期待できる。(つづく)

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国土交通省は、生産性の向上に優れた成果を上げた直轄工事を対象に、その取り組みをたたえる『i-Construction大賞』を創設する。優良事例の普及で建設現場の“生産性革命"を加速させることが狙い。特に優秀な取り組みに贈る「国土交通大臣賞」(原則1件)と、それ以外の優秀な取り組みを表彰する「優秀賞」(最大で10件程度)で構成。10月に第1回の表彰を行う。 6日付で各地方整備局などに実施要領などの課長通知を発出した。

 対象は、同省が発注した直轄工事のうち、前年度に完成した工事を施工した企業・団体など。各地方整備局に候補となる工事と担当した企業などの推薦を求める。
 省内に技監を委員長に技術統括審議官、技術審議官、技術参事官、水管理・国土保全局長、道路局長、港湾局長を委員とする選考委員会を設置。応募書類(関係書類)の審査などによって、表彰する工事や企業を選ぶ。
 表彰制度の事務局は官房技術調査課。関連する事務や手続きは技術調査課と公共事業調査室が担う。

 受賞者の選出・表彰は年1回。例年7月に各地方整備局の優良工事表彰が行われていることから、その後に候補者の推薦や選考を実施。9-10月ごろに表彰する流れを想定している。
 各地方整備局による候補者の推薦は、別に定める運用方針に沿って実施する。事務局である技術調査課に推薦書や選定基準書、その他の添付書類といった関係書類の提出を求める。

 省力化や省人化といった工事の能率や品質の向上に関する工夫など、運用方針に定める審査項目を参考に選考委員会が総合的に判断。最優秀賞となる国土交通大臣賞と優秀賞を選定する。

 建設現場の“生産性革命"を先導してきた直轄工事におけるICT土工は、初年度である2016年度から年間1000件を超す対応型工事を発注。大半が施工者希望型での発注だけに、実際にICT建機などを使って実践したのは584件となっている。このうち、昨年度までに完成した工事が対象工事の中核になる見込み。

 総合評価落札方式での加点がある各地方整備局の優良工事表彰とも重複することから、発注工事における直接的なインセンティブはないが、優良事例を広く紹介することで、政策課題となっている生産性の向上に向けた取り組みの普及・浸透につなげていく。

日本建設機械施工協会(JCMA)の施工技術総合研究所(CMI)は、静岡県富士市の同研究所で、今年度から実施されるi-Constructionの「ICT活用工事(舗装)」について、実際の舗装工事を施工して要領に沿った管理を行う模擬実験を、6月30日まで3日間にわたって行った=写真。日本測量機器工業会も協力した。
実大の舗装工事を模擬施工して、出来形をTLSで計測する
実験には、測量機器メーカー、ソフトメーカー、建機レンタル、道路会社のほか、発注者である国土交通省、国土技術政策総合研究所も参加して、新しい舗装工事へのICT施工管理の手法について、活発な意見交換も行われた。
 今年度から取り入れられる舗装のICT活用工事は、昨年度から始まったICT土工に続く新たなi-Constructionの取り組み。出来形管理には、土工で使われるUAVは使わず、地上型レーザースキャナー(TLS)の活用が増加すると見られる。舗装の最終仕上げとなる表層は、管理値が4mmと非常に精度が高いためだ。
 実験はCMIのヤードに、曲線を含む約50mの舗装工事現場を用意し、発注図書も作成して、舗装工事受注者の実際の施工を再現した。
道路会社、測器メーカーや国、国総研、CMIの担当者らで課題などを討議した
路盤工と、砂で模擬したアスファルト舗装工を順番に施工し、起工計測から路盤、舗装の出来形をTLSで実際に計測、出来形管理帳票の出力までを行った。この実験で得られたデータや結果は、参加者で共有して、今後の製品開発や施工管理に生かしていく。


 現場では、発注者協議を始め、住民説明会、協力会社との打ち合わせなど、現場の状況をお互いに理解する意識共有が必要な場面が数多くある。また安全教育や新規入場者教育でも、現場の状況説明が必要だ。
 また施工計画では、クレーンの配置計画、電線などの支障物との離隔確保、工事仮設計画など、2次元の図面上で検討しているのではないだろうか。もし3次元モデルで、こうしたシミュレーションができるとしたら便利だ。
 福井コンピュータは、3次元モデルを利用した、CIMコミュニケーションシステム「TREND-CORE(トレンドコア)」という製品を発売している。
 このソフトは3次元CADでありながら、工程進捗に合わせて、重機や仮設物などをモデル上に配置して、施工場面を再現できる機能を持っている。
 ソフトには、20tクラスの油圧ショベルやダンプトラックなどの3次元モデルがライブラリー化されている。置きたいものを選択して現場モデルに配置するだけで、重機モデルの可動範囲を鳥かごのように表現して配置計画に役立てたり、電線からの安全離隔距離もモデル化して、施工計画や安全管理に役立てることもできる。

◇中を歩ける新製品

 同社は8月下旬に「TREND-CORE VR」というバーチャルリアリティシステムをリリースする。トレンドコアで作成した現場のモデルをこのソフトに取り込むと、ヘッドマウントディスプレー(HMD、HTC Vive)にその現場を再現し、まるで工事現場に立っているようなVR体験ができる。
HMDで橋梁の下に入り込むことができる

 記者は銀座にある同社のショールームで実物を先行体験した。HMDを装着して橋梁点検車から桁の点検をシミュレーションしたり、都市土木の地下構造物の鉄筋の間に入り配筋間隔を手元のコントローラーで検査することもできた。
 体験して利点だと感じたのは、発注図面をもとにした3次元モデルなので、2次元の図面では理解しづらい複雑な施工現場でも、実際に中を歩いてチェックできることだ。まだ着工したばかりでも、モデルを配置しておけば、最盛期の現場の雰囲気を肌で感じることもできるだろう。PCの画面とは違った理解ができる。

◇自作の3Dデータをモデリング

 昨年の夏のこの連載で、3次元設計データを作成する実習を行った。同社の「EX-TREND武蔵」で、発注図書から道路線形などを入力して作成した3次元モデルを、トレンドコアに渡すと、現場を再現することができた。
3次元設計データに、建機や標識、車を配置できる

 驚くのは、油圧ショベルのバケットやアームを好きな方向に動かしたり、旋回させたりすることもできることだ。
さらにレンダリングした画像

 写真は、モデルに路盤や舗装を載せ、さらに建機や看板などを配置した状況。実際の工事で使用するならば、根切りから仮設構造物、鉄筋、本設構造物など、工事の進捗に合わせて、さまざまな構造物を配置できる。先ほどのVRシステムに入れれば、構造物の中に入って、支持地盤から上空を見上げるということも可能だ。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)