ベントレー・システムズ社の「Context Capture」は、空中写真から点群やモデルを生成するソフトウェアだ。今回は同社から、ソフトの評価版提供を受け、MAVICで撮影した実際の空撮写真使って点群生成する。
 ソフトを起動し、新しいプロジェクトを作成する。今回は、秩父にある日本キャタピラーの「D-Tech Center」を空撮したデータを利用する。
 まずソフトに空撮写真を読み込ませる。
 今回は112枚の空撮写真が入ったフォルダを指定し、シフトキーを押しながらすべての写真を選択、読み込ませた。

今回の実践ICT土工では、実際の図面を使って3次元設計データを作成する。発注図面として作成された平面図と横断図を、福井コンピュータ「武蔵」の建設CADにドラッグして読み込ませる。3次元設計データの作成については、以前もこの連載で取り上げているため、サンプルファイルを使用した前回と異なり、実際の図面を扱った時に気をつける点を書いていく。
 CAD発注図面のsfcファイルを開くと、左側にレイヤが多数現れる。これは、電子納品で提出する図面に定められている。
 国交省がとりまとめたCAD製図基準(案)によると、外枠(TTL)、現況地物(BGD)、基準線(BMK)、主構造物線(STR)など、図面に書き込まれている対象によって内容や色が細かく規定されている。
 図面を開いたら、はじめに図面照査を行う。これは座標系や縮尺がきちんとあっているか、設計要素や距離・勾配がきちんとしているかを確認する。
レイヤー構造は決められている

前回に引き続き「実践ICT土工」をお休みし、日本キャタピラーの「コンパクトトラックローダー(259D)」を使った現況測量を取り上げる。このトラックローダーは、全長3.5mほどのコンパクトなデザインの建機で、狭い場所でも施工しやすいのが特徴。同社はこのローダーに360度プリズムを取り付け、トータルステーション(TS)で連続的に座標を観測して、現況測量を行う手法を研究している。先日、秩父にある同社の「D-Tech Center」で、実際の建機を使用した計測実験が行われた。その模様をリポートする。

◇ローダーにプリズム搭載

 同社はこれまでにも、大型のラジコンカーなどにプリズムを取り付けて出来形などを測量する研究を行っているが、今回は履帯付きのローダーでもスムーズに測量できるかを研究した。
大型のラジコンカーなどにプリズムを取り付け計測

 ローダーの乗り降りは前から行う。前面にはバケットが付いており、ブルドーザーのような間隔で操縦する建機だ。
 実験では、ローダーの屋根部分に測量用の360度プリズムをネジ止めし、地表面からの高さを計測する。TSのデータコレクタに高さとプリズム定数を設定し、連続計測モードで、ミラーが2.5m移動するごとに観測する設定を行った。

 試験は、ヤードに5m×15mの試験範囲を決め、あらかじめ後方交会設置したTSを使って、手作業で3次元座標を計測しておく。縦方向に約2.5m、横方向に約1.5mで計測した。これを正解データとして記録する。
 実際に試験範囲をローダーで走行し、正解データに近い間隔で座標を取得した。走行にかかった時間は数分で、手計測による観測よりもはるかに速いスピードで完了した。

◇計測誤差はプラスマイナス2cm

 走行後には、TSのデータコレクタからCSV形式でデータを取り出し、点群処理ソフトのトレンドポイントで、正解データとローダー計測データを比較検証した。
 まず人力で計測した正解データの測点を点群として読み込ませ、TINメッシュを作成する。次にローダーで計測したデータから同様にTINメッシュを作成し、比較プロジェクトとしてメッシュ比較した。
トレンドポイントで比較した

 トラックで観測したデータと、TSによる計測データは、50cmメッシュ、4点平均標高法で計算し、最大標高差がプラス1cmからマイナス3cmで、プラスマイナス2cmの範囲に収まった。
 同社では、このコンパクトトラックローダーが、小型で小回りが利き公道走行も可能なことから、広範囲な現況測量に活用していく考えだ。(田中一博)

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
今回は「実践ICT土工」をお休みして、UAVによる空中写真測量の実践編を行う。連載61回目に紹介した、やんちゃな土木ネットワーク(YDN、事務局・正治組)が開発したi-Construction支援ドローン自動航行アプリ「Drone-ize×YDN PRO」(3万4800円)を使って、実際の空中写真測量を行ってみる。今回は日本キャタピラーのご協力をいただき、埼玉県秩父市にある「D-Tech Center」をお借りして、正治組の大矢洋平土木部部長らと一緒に現況計測を行う。
日本キャタピラーのD-Tech Center

◇本当に設定が簡単

 今回使用するUAVは、DJI社のMAVIC PROだ。わずか12万円程度で購入できる機体ながら、30分間の飛行が可能で、搭載しているカメラもi-Conで定められている画素基準を満足できる。重量も1㎏を切っており、持ち運びも簡単だ。
 自分の持っているi-Phoneに、Drone-izeアプリをインストールし、MAVICと接続設定する。アプリからMAVICを選んで、アプリに表示される地図上で、計測したい範囲をタップして囲むだけで、自動的にi-Conに対応した解像度やシャッター間隔、撮影写真のラップ率が自動設定される。これで設定は完了。はっきり言って、ほとんどやることがない。
 すると総飛行距離、撮影範囲面積、飛行時間、撮影枚数が計算される。今回は、飛行距離500m、飛行時間3分45秒、112枚の写真を撮影するようだ。
Drone-izeアプリで飛行ルートを設定

◇標定点を設置、撮影

 次にトータルステーションを後方交会法で、ヤードにある小山の上に任意点設置した。このセンターには、いくつか既設の基準点が置いてあるので、数分で設置が完了した。
 撮影した写真を、後ほどフォトスキャンを使って点群化するが、あらかじめフォトスキャンのソフトから標定点を印刷するためのPDFを出力しておく。今回は、このファイルを一般的な複合機からA3で印刷したものを、10枚ヤードに石で固定した。
 標定点を撒いたら、測量用のミラーでTSから3次元座標を計測する。今回は10点を計測するのに約15分ほどかかった。
 いよいよMAVICを飛ばす。今回はD-Tech Centerの女性職員の方に、操作をお任せした。コントローラーにi-Phoneを取り付けて、飛行ボタンを押すだけで、MAVICは自動的に測量開始点まで飛行し撮影を始める。
 当日は台風一過で約5m程度の風が吹いていたが、MAVICは約4分で撮影を終えて無事に帰還した。

◇フォトスキャンで点群

 撮影終了後は、MAVICからマイクロSDカードを取り出し、パソコンに写真をコピーする。カードには、普通のデジカメと同様にフォルダに写真が収まっている。
 フォトスキャンでは、平面直角座標9系を選択して、撮影した112枚の写真をドラッグするだけで大まかなモデルが生成される。あとはCSVで、10点の標定点座標を読み込ませて、写真に写り込んでいる標定点と合致させていく。高密度クラウドの生成を行うと、あっという間に写真のような点群ができあがってしまった。MAVICをケースから取り出して1時間半ほどで、空中写真測量が完了した。
 UAVやソフトの進展は想像以上に早い。これほど簡単に現況測量ができるようになっている。皆さんの現場でも、導入してはいかがだろうか? (田中一博)
あっというまに、点群が完成した

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
トレンドポイントには、実に便利な「自動フィルタリング」という機能がある。これはノイズ、近傍点、地表面のフィルタリングを自動で行うもので、今回のデータに対して実施したところ、1300万点が286万点までフィルタリングしてくれた。
 福井コンピュータによると、この機能を使って起工測量データを作る会社もあるが、現場によって状況が異なるため、前回紹介したさまざまなフィルタリングの状況を把握してから使ってほしいと話している。